2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14651048
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉岡 至 関西大学, 社会学部, 教授 (20248793)
|
Keywords | ジャーナリズム / ニュース / グローバリスム / 情報社会 / マスメディア / コミュニケーション / インターネット |
Research Abstract |
今年度はおもに日本を中心としたニュース流通の構造的変化を確認することに重点をおいて調査研究を行った。具体的には、ニュース報道やジャーナリズムの歴史的な変遷と今日的な特質を把握するための資料や文献を収集した。また、日本国内におけるニュース利用環境の多様化の方向を検討するために、とくに海外のニュース報道を軸にしてテレビジョン放送のニュース番組の編成やその内容を確認するとともに、グローバルなニュース流通に対する既存の新聞メディアの取り組みや、新興の衛星放送メディアの事業展開などについてヒアリング調査を実施した。あわせて、インターネットなどを用いた新たなニュース流通のあり方とその方向性についても検討を行った。 日本国内における多メディア・多チャンネル化の進展に伴って、放送メディアでも、衛星放送やケーブルテレビで「ニュース専門チャンネル」の編成が増加している。また、チャンネル単位ではなくとも、海外のテレビ放送のニュース報道番組が日本国内のテレビ放送の番組として編成されている。新聞メディアにおいても、海外の新聞社との提携によって日常的に海外の新聞記事が紙面に掲載されている。さらに、ニュース報道は単に新聞や放送のみで完結するのではなく、自立的であれ、補完的であれ、インターネット上のウェブサイトでさまざまな形で展開されている。このように、ニュースが一国の枠を超え、多様な流通経路をもち、蜘蛛の巣状に張り巡らされている状況は、世界的規模でのコミュニケーションを可能にする、「ノンストップでリアルタイムの」ニュース報道の空間(「グローバル・リンク・ジャーナリズム」)が社会的に編成されているとみなすこともできよう。 こうした変化が、新たなグローバルニュースの文化を生み出し、欧米を軸とする「中心-周縁」モデルや「文化帝国主義」モデルからの脱却を意味するものなのか、ニュース報道に対する人々の見方や意識の変化を含めて、今後の検討課題である。
|