2002 Fiscal Year Annual Research Report
公立文化施設における創造的な芸術教育プログラムに関する研究
Project/Area Number |
14651060
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上野 行一 高知大学, 助教授 (40284426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪能 由紀子 高知大学, 教授
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Keywords | コミュニティ・アート / 公立文化施設 / 芸術プログラム |
Research Abstract |
本年度は、研究課題の第一にあげた先進的なプログラムの調査、評価及び課題の掌握に関して、その展開が注目されているニューキャッスル市を中心にイギリスの17施設・機関およびに国内2施設の実地調査をおこなった。イギリスにおける実地調査は、以下の3点にまとめられる。(1)さまざま市民層に対応した創造的な芸術教育プログラムの作成。ニューキャッスル市では市民一般に対してのプログラムはもちろんのこと、病院の長期入院者に対するアート・イン・ヘルス、服役囚に対するエスケイプ・アーティスト、障害のある人たちに対するローンモワーズ等、日本ではほとんど顧みられていない人たちに対する芸術活動の提供も手厚くおこなわれていた。芸術文化はそれを愛好する特定の市民の楽しみではない。全ての市民に文化芸術を享受する権利があるのでありそのために公立文化施設は何ができるかが問われるのである。(2)先端的な内容の芸術教育プログラムの作成。ISISやザ・セージではデジタル・アートやコミュニティ音楽などの先端的な芸術教育プログラムがおこなわれている。伝統的なものに偏るのではなく、新しい文化創出のためにもこうしたプログラムの必要性は増すであろう。(3)学校・地域と連携した芸術教育プログラムの作成。テート・モダン(ロンドン)では、学校・地域と連携した芸術教育プログラムを実施調査した。日本の美術館で同様におこなうには無理があり、第3者機関もしくは民間の支援が必要である。国内では、高知市文化財団大家賢三氏と会議。高知県公立文化施設における創造的な芸術教育プログラムの可能性を探った。高知県の公立文化施設「カルポート」で行われたM.スペンサー氏と新日本フィルハーモニー管弦楽団のメンバーによる音楽づくりのワークショップおよび越谷コミュニティセンターにおける実地調査および前掲3項目をふまえ、市民参加型のプログラムの企画に着手した。
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