2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14651093
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土永 孝 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (70197713)
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Keywords | 日本手話 / ろう文化 / ろう教育 / 人工内耳 / 聴覚障害 |
Research Abstract |
本年度は日本手話をめぐる言説の資料として、書籍、ビデオを収集しました。当初書籍は手話に言及しているものを集める予定でした。しかし勤務校で第1学期に行なった一般教育演習「手話という視点」で、受講者が人工内耳問題にとくに強い関心を抱いたことがきっかけとなり、ろう・難聴者の医療に関わる医師、および医学生を取り巻く言説空間をまず調べる必要があると感じたため、手話を無視したり、申し訳程度にしか手話にふれていない書籍も考察の対象とすることにしました。たとえば耳鼻咽喉科学の教科書、参考書で聴覚障害に関係するものがこれに含まれます。これらの文献における手話への言及の欠如や、手話を貶めるレトリックは、聴覚障害者に関わる専門家集団の手話に対する考え方を形成するのにある役割を果たしていると私は予想しています。 メディアにおける手話の扱いについては、『日本聴力障害新聞』の1973年〜2000年の縮刷版を入手したので、これと他の主要な新聞との比校をすることにしましたが、作業はまだその緒についたばかりです。 この他に、個人的に集めている文献や勤務校の図書館所蔵の資料を合わせると膨大な分量になるため、全てに目を通して整理するのにはかなりの時間が必要です。しかも収集したい文献がまだ残っています。このため、当初資料とするつもりだったテレビ番組は除外することにしました。また、インタビューにまで手を広げる余裕がないことがわかったので、文献資料と手話関連のビデオの分析を優先しています。その他に、手話をめぐる最新の動向を知るために、手話関連の研究集会などに数多く参加しています。 12月に勤務校の公開講庄でろう・手話をめぐる聴者の意識について話をして、現在その報告書をまとめているところですが、これは本研究の序論程度のものです。資料の分析作業を本格的に進めるのは来年度となります。
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