2002 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット上における違法行為に関する発信者情報開示請求
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14652008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 宏樹 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70174430)
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Keywords | 発信者情報開示請求 / プロバイダー責任制限法 |
Research Abstract |
当初の研究計画に従い、本年度においては、発信者情報の開示請求制度に関するアメリカ、フランスなどの欧米諸国における判例法の対応、および、立法による対応の現状と問題点を把握することに努めた。そのために、主として文献や資料等による情報収集を行い、それらを丹念に分析・検討するという方法により作業を進めた。具体的には、アメリカ法については、この問題をめぐる最近までの主要な判例の流れをフォローするとともに、その問題点について論ずる学説を検討することを通じて、アメリカ法における問題の位相とその特徴について考察を進めた。また、フランス法については、インターネット法に関する体系書・概説書により問題の全体像を把握するとともに、インターネット上の電子掲示板における名誉毀損・プライバシー侵害や企業の信用毀損に関する一連の裁判例とそれを契機とした学説の議論や、電子商取引に関するEC指令(2000/31)を国内法化する法案の提出をめぐる議論など、最近の動向をフォローし、これらについて検討を行うことにより、フランス法の現状とその問題点の洗い出しを行った。 他方で、上記の作業と併行して、わが国における運用の現状とその問題点を把握するため、プロバイダー責任制限法協議会の活動に関与すること等を通して、わが国における著作権侵害や名誉毀損・プライバシー侵害などの事例におけるプロバイダー責任制限法の適用状況や、同法に基づく発信者情報開示請求に対する実務的な対応方針(ガイドライン)とその実例などについての情報を可能なかぎり収集するとともに、プロバイダー責任制限法の解釈論上生じている問題についても考察を進めた。
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