2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射光粉末X線回折によるスピン・クロスオーバー錯体の光誘起相転移の研究
Project/Area Number |
14654051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
守友 浩 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00283466)
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Keywords | 放射光X線粉末回折 / スピン・クロスオーバー錯体 / 動的相転移 / シアノ錯体 / 準安定構造 |
Research Abstract |
・スピンクロスオーバー錯体の光励起定常状態の相転移の発見 -91Kにおいて、励起光強度の関数として、[Fe(ptz)_6](BF_4)_2の放射光X線粉末回折パターンを測定した。励起光強度が55mW以上になると、第二相が出現することを見出した。この相は光励起された高スピン・サイトが凝縮したものと考えられる。この成果は、JPSJのLetterとして、11月号に掲載される。 ・スピンクロスオーバー錯体において高スピン濃度のとびを観測 -[Fe(ptz)_6](BF_4)_2の高スピン濃度を、励起光強度の関数として測定した。励起光強度が閾値(臨界光強度)を超えると、高スピン濃度が不連続に増加した。これは、高スピン濃度が閾値を超えると、その間の相互作用により高スピン・サイトが凝集することを意味する。さらに、励起光強度と高スピン濃度との関係を、Isingモデルで再現した。論文を、PRBに投稿中である。 ・スピンクロスオーバー錯体の温度-光強度相図の作成 -Nafion-[Fe(Htrz)_3]膜において、各温度での臨界光強度を決定し、温度-光強度相図を作成した。光強度を強めると、高スピン・サイト凝集相が出現する。温度の増加に伴い、臨界光強度が増加する。40Kを超えると、高スピン・サイト凝集相が観測されなくなる。 ・シアノ錯体の光誘起準安定相と過冷却相の格子定数の決定 -シアノ錯体の光誘起準安定相と過冷却相の91Kでの格子定数を決定した。過冷却相の格子定数は、光誘起準安定相のものより長いことが明らかとなった。光誘起準安定相と過冷却相との違いを明らかにしたのは、始めてである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Moritomo: "Structural transition induced by charge-transfer in RbMn[Fe(CN)6] -investigation by synchrotron-radiation X-ray powder analysis -"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 2078 (2002)
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[Publications] Y.Moritomo: "Structural analysis of [Fe(ptz)6](BF4)2 under photo-excitation -condensation of photo-excited high-spin ions -"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 2069 (2002)
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[Publications] Y.Moritomo: "Low-temperature structure of [Fe(ptz)6](BF4)2 -determination by synchrotron-radiation X-ray study -"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 1015 (2002)
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[Publications] 守友 浩, 劉暁俊: "マンガン酸化物における光によって誘起される電荷整列短距離秩序"表面科学. 23. 681 (2002)
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[Publications] 守友 浩: "粉末構造解析による遷移金属酸化物の研究"固体物理. 37. 643 (2002)