2002 Fiscal Year Annual Research Report
多項式展開法を用いた熱力学量の数値計算における超並列化アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
14654068
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
古川 信夫 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (00238669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
求 幸年 科学技術振興事業団, 創造科学技術推進事業十倉スピン超構造プロジェクト, 研究員 (40323274)
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Keywords | 多項式展開 / チェビシェフ多項式 / 並列計算機 / 並列化アルゴリズム / モンテカルロ計算 / 強相関電子系 / 相転移 / 臨界現象 |
Research Abstract |
1)強相関電子系のモンテカルロ計算におけるボルツマン因子の計算を加速するために、多項式展開法を用いた新しいアルゴリズムを開発した。従来は、ボルツマン因子を計算するためにはハミルトニアンを対角化することによってすべてのエネルギー準位を求める必要があったが、ボルツマン因子を計算する式を多項式展開することによって、ハミルトニアン行列の多項式の跡としてボルツマン因子を求めることができる。本研究では、ハミルトニアン行列の多項式を求めるための計算アルゴリズムを改良し、より少ない計算手順でボルツマン因子を求めることに成功した。また、これまでの多項式計算法に比べても同等な並列化効率が得られることが示された。 2)多項式展開法を用いて強相関強磁性金属系のスピン波励起スペクトルを計算した。従来は、スペクトル関数を計算するためにはすべてのエネルギー準位と波動関数を求めた上で、求められた波動関数と平面波状態との重ねあわせ係数を計算する必要があった。多項式展開法を用いることによって、スペクトル関数は状態密度モーメントの級数展開として表される。ここで、状態密度モーメントとは平面波状態に対するハミルトニアン多項式の期待値として定義される。したがって、スペクトル関数を対角化することなく状態ベクトルとハミルトニアン行列の多項式計算で求められる。これによって、非常に少ない計算手順でスペクトル関数を求めることに成功した。
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Research Products
(1 results)