2002 Fiscal Year Annual Research Report
超薄膜水の電磁気・力学物性-地震の前兆的電磁気異常のメカニズムの関する萌芽研究-
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14654076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 憲四郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 雄行 東京工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00126038)
栗原 和枝 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50252250)
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Keywords | 地震性電磁気現象 / 超薄膜溶液 / 固体表面-水相互作用 / 分子動力学(MD) / 表面間力測定装置(SFA) / ブルーサイト / 自己拡散係数 / 回転緩和時間 |
Research Abstract |
地殻中に含まれる水は岩石の破壊強度、物質移動、電気伝導度変化に大きく関連していると考えられている。特にそれら岩石の性質は水の存在様式によって大きく異なる。そこで我々はこの萌芽研究において、地震発生の基礎研究として、鉱物粒界の水の存在様式を分子動力学法(MD)および表面間力測定装置(SFA)を用いて調べている。 過去に結晶表面-水界面での水の動的性質を計算した例はあるものの、その表面-水に働く相互作用を厳密に考慮した研究はない。そこで我々は2002年度の研究として、第一原理電子状態計算を用いて表面-水相互作用を厳密に見積もり、それに合うように最適化したポテンシャルパラメータを用いて鉱物表面-水系の計算を行った。我々が対象とした物質は地殻中の断層帯に多く存在するであろう含水鉱物のブルーサイト、ギブサイト、タルクである。過去の研究では鉱物表面における水は表面に強く束縛されているものが多く、氷のような構造をもつという描像があった.しかしながら、本研究により、ブルーサイト表面での水分子の自己拡散係数はバルク水の約1.5倍、回転緩和時間は約0.8倍となり、非常に動きやすい性質を示すことがわかった(現在国際誌に投稿中)。この結果と比較するためにも現在ギブサイト、タルク表面および地殻中の温度圧力条件を再現する計算も実行中である。 SFAによる固体表面-超薄膜水の相互作用の実験も開始した。熟練を要する実験であるため、まだ個体表面間の距離を1nm前後まで十分には制御しきれていないが、2003年度は、MDによる計算結果とSFAによるマスコバイト表面間の水の粘性測定から、ミクロな水の物性を詳細に検討する予定である。 さらに、鏡面仕上げした花崗岩試料表面の電気抵抗を高圧容器内で測定した結果、圧着時間とともに抵抗が増加するという興味深い結果を得た。今後、この実験を系統的に行う予定である。
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