2004 Fiscal Year Annual Research Report
多結晶材料集合組織の数値シミュレーション技法を導入した岩石組織研究の新展開
Project/Area Number |
14654088
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 美千彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70260528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長瀬 敏郎 東北大学, 総合学術博物館, 助教授 (10237521)
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Keywords | 粒成長 / 流体分布 / ダナイト / ウェーライト / 液相焼結 / メルト分離 |
Research Abstract |
珪酸塩鉱物の多結晶体からなる岩石は、少量の水分が存在すると粒成長速度が大きく増加する。しかし水が流体として独立な相として存在し、その量がある閾値(臨界流体量)を超えると、逆に水が粒界移動を妨げ粒成長速度を低下させる。我々はまず合成ダナイト・ウェーライトの合成実験を行い、臨界流体量と粒成長則を決定した(大内・中村2004年地球惑星科学関連合同大会・日本地質学会)。臨界粒体量は3-5vol.%程度であり、すなわち鉱物結晶内への水の固溶限界を大きく超え少量の流体相として存在する状態が最大となる。これは、流体相や粒界を介しての溶解-析出過程によって粒成長が促進されるためであると考えられる。また粒成長の冪乗則におけるnの値は5-9と非常に大きくなり、流体によるZener pinningが粒成長を律速していることがわかった。また、岩石中の粒径不均質は、界面曲率に基づく溶解度の効果によって流体量の再分布を起こす(Wark&Watson,2000)。この流体量はさらに粒成長速度に影響するため、流体量と粒成長速度の間にはフィードバックシステムが成立する。そこで、粒成長速度の流体量分布依存性として液相焼結におけるGerman & Olevsky(1998)のモデルを用い、流体量と結晶粒径に一次元的な揺らぎのある初期条件の下で粒成長する岩石の組織形成の数値シミュレーションを行った。その結果、初期流体量が臨界閾値以上の場合には自己組織化が発生することがわかった。たとえば部分溶融体においてこのような流体に富む部分の流体量(岩石マトリクスの空隙率)でメルトの分離と岩石マトリクスの圧密が発生すれば、段階的な分別溶融作用が起こり、またその後の粒成長速度は大幅に低下して岩石の縞状構造が保存される。このように粒成長と粒子サイズ効果のカップリングは、岩石中の流体移動やメルト分離を支配している可能性がある。
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Research Products
(2 results)