2002 Fiscal Year Annual Research Report
マントル部分熔融領域最上部でのマグマ蓄積に関する実験的研究
Project/Area Number |
14654092
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡辺 了 富山大学, 理学部, 助教授 (30262497)
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Keywords | マントル / 部分熔融 / マグマ / 浸透流 |
Research Abstract |
本研究の目的は,マントル部分熔融領域最上部でのマグマ蓄積過程の解明である.ガラスビーズ+塩化アンモニウム水溶液の浸透流実験を通して,マグマ発生場でのメルトの運ぶ熱とリソスフェアからの冷却との競合過程を理解したいと考えている.今年度は浸透流実験システムを構築するとともに作業物質の基本的性質を調べた. 1.浸透流実験システムの構築 浸透流実験では,一定温度に冷却したガラスビーズ多孔質媒質に塩化アンモニウム水溶液を流し,熱的競合と流れの状態を温度,液圧,流出量の測定によりモニターする.温度および液圧の測定には設備備品として導入したデータ収録ユニットを用いている. 冷却が支配的な条件で実験を行ない,冷却により沈殿が生じて液圧が増加する,という状況をつくることに成功した.これは沈殿によるシール,液圧によるシールの破砕,沈殿によるシールの再形成,というサイクルをシミュレートするものであり,浸透流からクラックへというマグマ輸送メカニズムの変化を理解するカギになると考えている.平成15年度はこのサイクルを理解すべく破砕も含めた実験を計画している. 2.塩化アンモニウム水溶液の電気伝導度 電気伝導度から沈殿量を推定するために,塩化アンモニウム水溶液の電気伝導度の濃度依存性,温度依存性を調べた.電気伝導度測定には設備備品として導入したLCRメータを用いている.高濃度溶液の電気的性質はまだ未解明の問題が多い領域であるが,イオン易動度および活性化エネルギーの濃度依存性について飽和状態まで成り立つ経験式を得ることができた. 3.固液共存系の熱伝導度 マントルでの熱的競合を解明するためには,化学変化を伴う固液共存系の熱的性質を理解する必要がある.平成14年度はガラスビーズ+水溶液系の熱伝導率を測定するためのセルを作製した.現在,これを用いてガラスビーズ+水という反応を伴わない系についての測定を行なっている.
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