2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654144
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古月 文志 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40281844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 清 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70000859)
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Keywords | 核融合エネルギー / 重水素 / 生体膜 / 両性イオン / ホスファチジルコリン / 生体を模倣した分離カラム / 高速液体クロマトグラフィー / 水素イオンの分離 |
Research Abstract |
重水素(D_2、Deuterium)は、核融合エネルギーの開発に欠かせない原料物質である。また、その酸化物、即ち、重水(Deuterium oxide、D_2O)は、原子炉の減速材として実際に使われている。しかしながら、我が国は、重水素又は重水を製造するプラントを持っていないため、海外からの輸入に依存せざるえない。周知の通り、重水素と重水は国際規制物質であるので、安定した原子力発電及び核融合エネルギーの研究・開発を維持するためには、重水素及び重水の生産技術を開発・確保しなければならない。 重水又は重水素は、主として電気分解法により普通の水から取り出されている。例えば、10トンの重水を取り出すには、約10万トンの普通の水を電解する必要がある。この方法は、膨大な電気エネルギーを消費するだけでなく、既に国外において特許化されていた方法であるため、日本では利用できない。 このような状況を踏まえ、研究代表者らは、レシチン(ホスファチジルコリン)つまり、生体膜を構成する主となる物質、即ち、1分子にリン酸基と四級アンモニア塩基を持つ物質、DMPC (Dimyristoyl phosphatidylcholne)を分離カラムに固定化し、このDMPC型のカラムを分離カラムとして用い、液体クロマトグラフ法による水素イオンの分離を、世界で初めて成功した。今年度は、基礎的な部分、例えば、高い分離能を持つ分離カラムの作成方法、最適な溶離液の選定などから、研究を進めてきた。これらの研究成果を踏まえ、重水素イオンを普通の水素イオンから分離・分取することができる高速液体クロマトグラフィーの開発を次年度から行いたいと考えている。重水素又は重水を低コストで且つ大量に生産することができる工業スケールの分離・製造プロセスに発展させるのを、本研究プロジェクトの最終の目標としている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 古月 文志: "Use of a biomimetic chromatographic stationary phase for study of the interactions occurring between inorganic ions and bio-membranes"Biophysical Journal. 83. 3351-3356 (2002)
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[Publications] 古月文志: "Determination of total acidity and of divalent cations by HPLC with n-hexadecylphosphocholine as the stationary phase"Journal of Chromatography A. 956. 139-145 (2002)
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[Publications] 古月文志: "Capacity effects of the eluent cations on anion separation in HPLC using ODS coated with phosphatidylcholines as the stationary phase"Analytical Sciences. 18. 1183-1184 (2002)
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[Publications] 古月文志: "Ion chromatographic determination of total acidity in aqueous solution"Analytical Sciences. 18. 1383-1385 (2002)