2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞融合法を用いた初期化と未分化状態の維持に関与する原因染色体の同定
Project/Area Number |
14654150
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
白吉 安昭 鳥取大学, 医学部, 助教授 (90249946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 基伸 鳥取大学, 医学部, 寄附講座教員(常勤形態) (00273904)
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Keywords | 細胞融合 / 初期化 / 多能性 / ES細胞 / テラトカルシノーマ細胞 |
Research Abstract |
本研究では、初期化や分化転換、未分化状態の維持と多分化能に関わる未知の分子機構の解明を目指して、体細胞遺伝学の手法を用いて原因染色体を同定することを目的としている。 本年度は、分化能を失ったマウスF9テラトカルシノーマ細胞と、ヒト間葉系幹細胞あるいはマウスES細胞との組み合わせで細胞融合を行い、雑種細胞株の分離を試みた。その結果、ヒト間葉系細胞との雑種細胞株の分離には成功していないが、ES細胞とF9細胞との雑種細胞株60クローンの分離に成功した。 分離した60クローンのうち、これまでに14クローンの分化能と染色体数の解析を行った。13クローンは多分化能を示さず、その染色体数は約80本であった。一方、クローン株C4は、血管内皮細胞への分化能を示し、その染色体数は66本であった。 この結果は、研究計画にあるように雑種細胞の各クローンは、分化能に関して多様性があること、つまり多分化能を示す株と示さない株が得られることを示しており、これらの雑種細胞クローンを解析することによって、分化能に関わる染色体の同定が可能であることを示唆している。また、マウスの染色体数は40本であるから、予想される雑種細胞の染色体数は80本である。分化能を示したC4株の染色体数は66本で、いくつかの染色体が失われていると考えられる。つまりC4雑種細胞株は、染色体が失われることによって多分化能を獲得した可能性があり、多分化能を示さないF9細胞には分化能を抑制する遺伝子が働いている可能性がある。このようにF9細胞とES細胞との雑種細胞では、分化能がF9細胞のゲノムによって支配されているのではないかと考えている。
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