2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654152
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黒木 陽子 理化学研究所, ゲノム地図開発研究チーム, リサーチアソシエイト (10344037)
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Keywords | Y染色体 / 霊長類ゲノム / 比較ゲノム解析 / 染色体特異的ライブラリー / Y染色体ハプロタイプ / STSマッピング / FISH解析 / 染色体解析 |
Research Abstract |
本年度の達成目標である、研究リソースと解析システムの構築については、ほぼ達成できた。 リソースでは、ヒトY染色体特異的Fosmidライブラリーを作成し、それらの3Dスクリーニングシステムを構築した。我々が以前に報告した「日本人Y染色体のハプロタイプ間における正常男性の平均精子数の相違」を念頭におき、YハプロタイプI-IVのそれぞれについて、Y染色体の大きさを60Mbと推定した場合の10ゲノム分を含むライブラリーを作成した。これらのライブラリーは今後展開する予定である、表現型を考慮に入れた霊長類Y染色体の比較ゲノム解析を行う上で、貴重なリソースと成り得る。また、システムの構築では、染色体のFISH法による解析システムを立ち上げた。染色体のR-バンドによる核型解析とDNA fiber-FISH法については、今後さらに条件設定をする必要性が残されているが、クローンのマッピングについては支障なく解析できるようになった。 各霊長類のゲノムDNAを用いて、ヒトの塩基配列をもとに作成した84個のマーカーによるSTSマッピングを行った結果、10.7%がヒト特異的、3.5%がヒト-チンパンジー特異的,ヒト-チンパンジー-オラウータンで共通なマーカーは9.5%であった。それらのマーカーが位置する領域の詳細な解析については、今後順次行っていく予定である。また、ヒトとチンパンジーY染色体のFISH法による比較を行っているが、チンパンジー全染色体で最小のものがY染色体であることが明らかとなった。さらに、既に報告されていることであるが、ヒトで認められる長腕のヘテロクロマチンがチンパンジーでは認められないことを確認した。染色体標本の観察によると、チンパンジーのY染色体はヒトの約半分の大きさであるが、この大きさの違いがヘテロクロマチンの有無のみに由来するのかどうか、現在解析中である。
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Research Products
(1 results)