2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654152
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黒木 陽子 独立行政法人理化学研究所, ゲノム地図開発研究チーム, 研究員 (10344037)
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Keywords | Y染色体 / 比較ゲノム解析 / 霊長類 / FISH / ゲノム地図 |
Research Abstract |
本年度の成果として、1、ゲノムライブラリーや霊長類由来のゲノムDNAなどのリソースの拡充、2、霊長類間におけるY染色体構造比較とヒトY染色体特異的領域の同定、3、チンパンジーY染色体の物理地図作製が挙げられる。 1、については、チンパンジー5個体とニホンザル1個体について血液サンプルを入手し、EBウイルスによるセルライン化を行った。チンパンジーについてはライン化に成功したが、ニホンザルでは上手くいっていない。これについては、ニホンザル細胞表面におけるEBウイルスレセプターの欠如が予想されるため、今後はベクターを用いた細胞の形質転換を行い培養細胞の樹立を目指す。また、チンパンジーY染色体特異的BAC/Fosmidライブラリーを作成した。 2、昨年度から継続しているSTSマッピングについて、さらに詳細な解析を行い、霊長類Y染色体においてヒト特異的な領域を同定した。その領域は、ヒト以外の霊長類において認められないことから、進化の過程でヒトとチンパンジーが分岐した後、ヒト特異的に起こったゲノムの挿入であることが推定された。1Mb以上にわたるこの領域には、ヒトにおいて複数の遺伝子が存在する。それらの遺伝子は、遺伝子ファミリーを形成するものや情報学的解析により予測されたものであり、遺伝子機能については不明なものであるが、ヒト特異的な表現型に関わる遺伝子の存在が期待される。 3、密度の高いクローンマップの構築を目指して、チンパンジーY染色体の物理地図作製を進めている。これまでの解析で、ヒトと相同性を示す領域のクローンマップは、一部の領域を除いて完了している。ヒトY染色体は同一種内でも多様であることが報告されているが、データベースに登録されているヒトY染色体の構造と、我々が解析に用いているチンパンジーY染色体の構造は、塩基配列、染色体構造ともに大きなゲノム構造変化が認められている。
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Research Products
(1 results)