2003 Fiscal Year Annual Research Report
空間行動と共存群集の進化:C.elegansをつかった実験進化生態学の開拓
Project/Area Number |
14654154
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 潤 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (80272011)
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Keywords | C.elegans / 空間構造 / 進化実験 / 分散行動 |
Research Abstract |
本年度の研究で以下の成果を得た (1)大腸菌のパッチによる空間構造の変化、卵植え継ぎによる経代実験の確率、GFPによる遺伝型の計測など、C.elegansによる進化実験系を確立した。 (2)17のストレインについて、増殖率、分散率などを調べた。また、密度依存増殖、密度依存分散についても基礎データを得た。多くのストレインではパッチから別のパッチに移動する分散率は低く、0.2以下であるが、いくつかのストレインで高い分散率を示すものがあった。これは主に、餌感知などに関わる突然変異個体であった。また、GFPを導入した野生型ストレインで密度依存分散の行動に異常がみられ、GFPの挿入された部位がこの行動に関係しているものと予測された (3)空間構造のある条件とない条件で、密度依存分散をする低分散型と密度依存分散をしない高分散型ストレインを競争させたところ、通常、空間構造がある条件では高分散が選択されるが、密度依存分散をする低分散型ストレインが10世代後に増加し、密度依存分散が空間構造のある条件で重要なことが示された (4)空間構造のある条件とない条件で、低分散型・低増殖率と高分散型・高増殖率のストレインを競争させた。通常、パッチが飽和環境にある場合は、空間構造がなし条件で低分散型ストレインが増加することが予測されたが、実験では、空間構造があるなしにかかわらず、高分散型・高増殖率が増加した。線虫では、分散率と増殖率の間でトレード・オフはみられず、パッチに侵入してからの増殖率が競争において重要であることが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Teshima, H., D.Angus, Y.Kuwahara, J.Yokoyama, S.Chiba, T.Fukuda, H.Ogimura, M.Kawata: "The evolution of extreme shell shape variation in the land snail Ainohelix editha : a phylogeny and hybrid zone analysis"Molecular Ecology. 12. 1869-1878 (2003)
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[Publications] Nagata, Y., M.Kawata, J.Kontura, T.Ono, K.Yamamoto: "X-ray-induced mutaions in Escherichia coli K-12 strains with altered DNA polymerase I activities"Mutation Research. 528. 93-103 (2003)
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[Publications] Yokoyama J: "Cospeciation of figs and fig-wasps : a case study of endemic species pairs in the Ogasawara Islands"Population Ecology. 45. 249-256 (2003)
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[Publications] Fukuda, T., Yokoyama, J., Maki, M.: "Molecular evolution of cycloidea-like genes in Fabaceae"Journal of Molecular Evolution. 57. 588-597 (2003)