2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654177
|
Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
山城 秀之 名桜大学, 国際学部, 助教授 (80341676)
|
Keywords | イシサンゴ / 腫瘍 / 病気 / 代謝 / ノリコモンサンゴ / コブハマサンゴ |
Research Abstract |
本研究では,沖縄に生息する腫瘍を持つサンゴの分布や腫瘍の維持機構を明らかにすることを主な目的とした。 14年度の野外分布調査中に、名護市東海岸や伊平屋島他において塊状のコブハマサンゴ(Porites lutea)にこれまで観察例のない新型腫瘍を発見した。腫瘍部分に正常組織の陥入が見られ,腫瘍と正常組織との境界が不明瞭となっているのが特徴である。マスコミにも取り上げられ,腫瘍を持つサンゴに関する情報が寄せられた。その結果,予想以上に県内の多くの場所でいろいろなタイプの腫瘍が見られることが次第に明らかになりつつある。広範囲高密度の腫瘍が発見された与那国島のように場所によっては深刻な状況にある。これはその規模からみて世界的にも注目される事例となると考えられる。 腫瘍の代謝機構を明らかにするために、放射性炭素で標識された重炭酸ナトリウムを基質として海水中に添加し、腫瘍を持つノリコモンサンゴ(Montipora informis)をインキュベートした。サンゴの細胞内に共生する共生藻の光合成によって無機炭素化合物から有機物として固定された物質の放射活性を液体シンチレーションカウンタにより測定した。 その結果、腫瘍部分の取込率は正常組織の67%と小さかった。しかしそれぞれの組織から単離した共生藻の光合成能に差はなかった。標識後,通常海水で3日飼育した結果,両組織とも固定された炭素の40%が残っていた。しかし、腫瘍に特徴的な変化は特に観察されなかった。 腫瘍組織と通常組織の間の物質の受け渡しの有無について、14年度は明らかにできなかった。
|
Research Products
(1 results)