2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14655006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂田 誠 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40135306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 昌樹 (財)高輝度光化学研究センター, 利用研究促進部門I, 主席研究員 (60197100)
西堀 英治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10293672)
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Keywords | マキシマムエントロピー法 / 単分子 / イメージング / 回析パターン / フラーレン / ナノチューブ / シミュレーション / 分解能 |
Research Abstract |
本研究は、結晶であることを全く必要とせず、原理的には単分子でもイメージングが可能な構造解析手法の基礎的研究である。現実的には、単分子では回折パターンのコントラストがつかないため現段階では、ほとんど不可能であるが、X線領域の自由電子レーザーが実用化されれば、全く、不可能と言うわけではなくなるであろう。 非常に並行度の良い単色X線を単分子に照射した場合、原点を中心とした回折像が得られる。観測される回折像は、逆空間上に連続関数として表される。最も単純に、単分子がガウス関数として表せるならば、回折像もガウス関数として表される。しかしながら、実際の実験では原点の強度を測定することは原理的に不可能である。そのために、原点付近には測定が全く出来ない領域が出来てしまう。このような未測定領域の情報をマキシマムエントロピーにより、推定する事により、分解能の高い構造情報を得ることが出来るようになるはずである。今年度の研究では、フラーレン分子の場合については、純粋のシミュレーションを行った。また、ナノ材料として最も有望な物質、カーボンナノチューブに関しては、高分解能電子顕微鏡像を基に、現実的な実験条件でどの程度分解能の構造を得ることが出来るのか、プログラムを開発し検証をした。その結果、フラーレンに関してもカーボンナノチューブに関しても、電子顕微鏡像に比べて遙かに高分解能の構造像が得られることが判明した。この結果は、日本放射光学会において口頭発表を行い、実際に実験を行っている研究者を中心に注目を集めた。 本研究は、Density Modificationおよびマキシマムエントロピー法と言う、20世紀の後半に計算の発達とともに発展してきた手法を基礎としている。世界的に見て、少しずつ結果が蓄積されてきているが、必ずしも質が伴っているとは言い難い。本研究では、研究の質の向上に貢献したいと思う。
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[Publications] M.Takata, E.Nishibori, M.Sakata, C.R-Wang, H.Shinohara: "Sc_2 dimer in IPR-violated C_<66> fullerene : a covalent bonded metallofullerene"Chem.Phys.Lett.. 372. 512-518 (2003)