2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14655015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大砂 哲 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60271962)
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Keywords | ナノ厚金属殻 / マグネトロンスパッタリング |
Research Abstract |
本研究の目的は、スパッタリングを基本としたナノ厚金属殻作製装置を開発することでナノ厚金属殻の創製を実現することにある。この装置は、凝集した微粒子を分散させる分離機構、スパッタリングによって個々の微粒子の全面に数nmの金属クラスターを付着させる付着機構、および加熱融解により金属クラスターを殻状に結合させる加熱機構より構成される。 本年度は微粒子の全表面に均一に金属を付着させる機構の開発を主に行った。基本となる機構は、DCマグネトロンスパッタリングである。通常のスパッタリング法のデザイン(平板ターゲットから飛び出した金属原子を平板試料台上に堆積させる)とは異なり、本装置の基本設計は、円筒状のターゲット(陰極)とその中に配置したワイヤー(陽極)の間で放電を発生させることで円筒内において連続的にスパッタリングを行うことにその特徴がある。すなわち、円筒内壁の全方位から飛び出した金属原子が円筒中を移動する微粒子に付着することにより、全面均一付着が可能となる。 本年度はこの円筒スパッタリングのデザインを実現するために、既存のスパッタリング装置の改造を主に行い、スパッタリング条件について検討した。金属殻の作製において最も重要な条件は、安定な放電を発生することであり、印加電圧、真空度、円筒のサイズ等がそのパラメータとなる。本年度の実験では、これらの条件は平板スパッタリングに比べて、若干の高電圧、高真空が必要であることが分かった。この結果は高速スパッタリングにおいては不利であり、円筒中を飛行する微粒子の全表面にナノメートル厚さの金属を堆積させるためにはさらなる装置改良が必要である。しかしむしろ、微粒子をより長時間円筒中に存在させる方法を採用する方が堆積量(膜厚)のコントロールには有利であろうとの着想に到り、本年度末においてこの方法を試験するための装置改造を行った。
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