2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14655040
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30209639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 和亮 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (10359763)
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Keywords | バイオメカニクス / 血管内皮細胞 / 繰返し進展刺激 / 二軸引張 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
荷重を支持する生体組織は力学的に最適化されている場合が多い.従って,生体組織を適当な力学環境で培養することで,その環境に適した構造物を自発的に創製させることができるかも知れない.本計画では,力学刺激下で培養した細胞に,その環境に最適な構造を形成させることの実現可能性を評価するため,細胞を弾性シート上に播種し,シートに様々なモードの繰返し変形を加えながら培養し,細胞が全体で形成するパターンや個々の細胞の形態変化を調べ,細胞に力学場に適した構造を作らせることが可能かどうか検討することを目的として2年間の研究を進めてきた.初年度は市販の細胞繰返進展刺激負荷装置に改良を加え,2軸の引張を加えることのできる装置を試作し,ウシ大動脈由来血管内皮細胞(BAEC)が細胞長軸方向に加わる繰返し引張ひずみを最小とする方向に配向することを確認した.これは細胞をひずみ方向センサとして使用できる可能性を示すが,同時に細胞長軸方向に継続的な引張を加えられないことも意味する.そこで本年度は,細胞長軸方向に繰返引張を加えることを目指した.現有する進展刺激負荷装置の細胞培養チャンバ底面の弾性シートに引張方向に平行な微小溝を付け,細胞がこれに沿って配向することで,細胞の長軸方向に選択的に引張負荷を加えることができるようにした.BAECを用いた検討の結果,1)溝間隔が50μm以下であれば細胞の配向角(絶対値)の平均は伸張方向に対して10゜以内,標準偏差も10°以内になること,2)この状態を保ったまま伸展率10%,周波数1Hzの繰返し引張を6時間負荷できること,3)この負荷により,細胞のshape indexが10 15%増加することなどが明らかとなった.現時点では加重支持構造として最適な構造を形成させるには至っていないが,少なくとも細胞が周囲の力学場に応じた構造を作ることが確かめられた.今後,他の細胞種を用いた検討や細胞骨格の変化を観察する必要がある.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Matsumoto T: "Residual Stress and Strain in the Lamellar Unit of the Porcine Aorta : Experiment and Analysis"J Biomechanics. (In press). (2004)
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[Publications] 長山 和亮: "細胞の力学特性計測のためのレーザ顕微鏡複合型原子間力顕微鏡(AFM)システムの開発"日本機械学会論文集C編. (In press). (2004)
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[Publications] Ozawa H: "Mechanical properties and function of the spinal pia mater"Journal of Neurosurgery : Spine. (In press). (2004)
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[Publications] 松本 健郎: "平滑筋収縮に伴う家兎動脈壁内ひずみ分布の変化 弾性動脈と筋性動脈の比較"日本機械学会論文集A編. 69-677. 37-42 (2003)
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[Publications] 杉田 修啓: "軸方向観察による血管壁の局所ひずみ分布計測"日本機械学会論文集A編. 69-677. 43-48 (2003)
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[Publications] Ohashi T: "Rupture Properties of Blood Vessel Walls Measured by Pressure-Imposed Test"JSME International Journal, Series C. 46-4. 1290-1296 (2003)
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[Publications] 松本 健郎: "構造工学ハンドブック(13.バイオ構造/13.2マクロ構造/13.2.1(b)生体組織構造 血管構造)"丸善. 1070 (2004)