2002 Fiscal Year Annual Research Report
形態力の概念によるエシェルビー力学の再構築と不均質材料の連続体力学への適用
Project/Area Number |
14655044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今谷 勝次 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (70191898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 拓也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (50311741)
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Keywords | 多結晶材料 / 熱影響部 / 粒界すべり / 高次勾配モデル / 一般化変分原理 / 有限要素法 / エネルギー解放率 |
Research Abstract |
不均質材料の力学的挙動を検討するために,多結晶体の微視的変形に関する解析と実験による観察を行うとともに,非単純体のもっとも簡単な例として高次勾配モデルをとりあげ,構成式モデルの提案と数値解法のための定式化を試みた.得られた成果は以下のとおりである. 1.多結晶体の数値解析…単結晶のモデルと粒界すべりを3次元有限要素法に導入して,多結晶体の変形を解析した.その結果,個々の結晶のすべり系や粒界の強度よりも,粒界の幾何学的条件が粒界3重点近傍でのひずみの変化に大きな影響を及ぼすことがわかった. 2.実験による検証…Mod.9Cr-1Mo溶接継ぎ手を用いて,熱影響部の微視的変形挙動を実験的に検討した.原子間力顕微鏡を用いて試料表面の凹凸と個々の結晶のひずみ分布を測定した.その結果,高温での粒界割れが確認でき,変形は粒界近傍に集中して帯状をなす傾向が認められた. 3.高次勾配モデルの提案…ひずみ勾配を引数とする線形モデルを表現定理から導き,その基礎式を確立した.通常の数値解法では扱えない高次勾配を一般化変分原理を応用することによって,有限要素方程式を定式化した.き裂を含む物体の応力解析に適用するとともに,寸法効果の出現を数値的に確認した.今後,モードI型だけでなく面外せん断モードにも適用できるように拡張する. 4.破壊力学パラメータの検討…形態力の概念を適用することによって,単純体でのJ積分と同様のプロセスを経て高次勾配モデルのエネルギー解放率を導出できることを示した.ただし,高次勾配の場合には境界条件に不詳な点が多く,数値的にその経路独立性を示す必要がある.今後,上記3で与えた数値解コードに破壊力学パラメータを算出するアルゴリズムを追加して,各種のき裂について解析的に検討する.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 川上亮一, 今谷勝次, 前田亮平: "多結晶体の変形に及ぼす結晶粒と粒界すべりの影響"材料. 52・2. 112-118 (2003)
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[Publications] Shoji IMATANI, Koujiro HATADA, Gerard MAUGIN: "Crack Analysis Accounting for Strain Gradient Effect"Proceedings of EUROMECH-445. (発表予定). (2003)