2002 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨生体組織内マクロ輸送現象の流体力学モデルの構築
Project/Area Number |
14655073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡部 正夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30274484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 大介 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60284535)
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Keywords | bovine Articular Cartilage / Transport phenomena / Diffusion / Hetrogeneity / Tissue / Extracellular matrix / Fluorescent tracer |
Research Abstract |
血管が存在しない軟骨組織を対象として,生体組織における組織レベルのマクロスケールなマクロな輸送現象輸送現象に関して研究を行った.軟骨組織内には血管細胞が欠如しているため,組織内の輸送現象は主に拡散・浸透によるものであると考えられる.本研究では分子量の異なる蛍光マーカーを培地に混入し,牛関節軟骨より切り出した軟骨微小組織切片を一定期間培養し,蛍光マーカーが拡散した軟骨組織の,連続凍結切片の蛍光顕微鏡像に画像処理を施し,蛍光マーカー空間分布を定量化することにより,細胞組織内への輸送現象を観察した.その結果,以下の知見を得た. 1.軟骨組織内の物質輸送は,組織の幾何学的構造,生物理学的特徴の異方性により大きく影響を受ける.軟骨組織の加重方向に輸送されるマーカー量は,加重方向の直交方向に輸送されるマーカー量に卓越している.特に軟骨組織表層部よりのマーカーの浸入が顕著であることが観察された. 2.分子量の異なるマーカーを用いることにより,拡散速度および拡散量に大きな違いが観察された.特に,分子量500kD程度のマーカーの場合には,組織内部への侵入がほとんど観察されなかった. 3.分子量の等しいFITC-dextranとRITC-dextranをマーカーとして用い,12時間培養を行った結果,拡散様式に大きな違いが観察された.FITCは負に荷電され,RITCは中性であることが,電気泳動を用いて確認されたことより,軟骨組織の荷電に大きく影響を受けたものであると考察される.
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