2003 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線レーザアブレーションによるカーボンナノチューブ混入PTFE薄膜の試作と評価
Project/Area Number |
14655116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 哲治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90107532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 爆発安全センター, 研究員 (90323443)
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Keywords | レーザアブレーション / カーボンナノチューブ / PTFE / 紫外線レーザ |
Research Abstract |
本研究は、昨年度より3カ年計画で開始された研究である。2年目にあたる本年度においては、カーボンナノチューブ(CNT)をCVD法で作成する手法は、ほぼ安定化しつつある。アルゴン、アンモニア、アセチレン混合ガスを用い、水素とアンモニアによってアモルファスカーボンを除去することで高純度多層カーボンナノチューブを作製できるようになった。現在、CNTの応用として最も期待されている電子放出源としての可能性を検討している。各種ガス相でのアニール処理を施した場合、プラズマ処理を施した場合などである。これらは、現存の設備XPS装置(ESCA)により、化学結合を含めた表面組成分析を行っている。また、一部では、その仕事関数も計測している。表面処理をすることでCNTの仕事関数を変化させることに成功し、また、結果として電子放出特性にも影響を及ぼしていることが確認された。尚、高分解能走査電子顕微鏡、透過電子顕微鏡によっても確認されている。硝酸処理を行うと成長時には基盤面と垂直に成長してきたCNTが、剥離するのかは不明であるが、横に倒れた形状となり、基盤のSiやその酸化物が、XPS分析で確認されるようになる。また、酸素や窒素の混入も確認されている。電界による電子放出については、一般に、プラズマ処理を行うと電流値が大きくなることが確認された。これは、炭素結合が分離され、酸素など他の原子と結合することにより実質的な仕事関数が減少したことによると思われる。反面、電界特性との比較では、シャープさが減少しており、それぞれの電子放出点では、電流増加に飽和特性が見られている。今後は、どのような処理が有効かをより厳密に追求して実用化指針を確立したい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Sunwoo LEE, Tetsuji ODA: "H2 Plasma Processed Carbon Nanotube Films ; XPS Analysisand Field Emission Property"Proc.Spring Meeting of IEJ. 25-28 (2004)
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[Publications] 李善雨, 小田哲治: "カーボンナノチューブの電子放出特性に及ぼす化学処理の影響"静電気学会春期講演会論文集. 45-48 (2003)
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[Publications] 李善雨, 小田哲治: "化学処理したカーボンナノチューブのXPSによる分析"静電気学会全国大会講演論文集'03. 261-264 (2003)
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[Publications] S.Lee, T.Oda: "Chemically modified multi wall carbon nanotubes ; field emission properties and XPS investigation"Proc.NT03. (2003)
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[Publications] R.Ono, T.Oda: "Visualization of Streamer Channels and Shock Waves Generated by Positive Pulsed Corona Discharge Using Laser Schlieren Method"Jpn.J.Appl.Phys.. Vol.43 No.1. 321-327 (2004)
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[Publications] R.Ono, T.Oda: "Spatial distribution of ozone density in pulsed corona discharges observed by two-dimensional laser absorption method"J.Phys.D (appl.Physics). Vol.37. 730-737 (2004)
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[Publications] 小田 哲治 (分担執筆): "プラズマの生成と診断"コロナ社. 452 (2003)