2002 Fiscal Year Annual Research Report
液体ヘリウム表面の2次元電子によるテラヘルツ電磁波の発振と検知
Project/Area Number |
14655133
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢山 英樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (60166840)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 敏一 九州大学, 大学教育研究センター, 助手 (80333318)
|
Keywords | 2次元電子系 / 液体ヘリウム / テラヘルツ / 電磁波 / マイクロ波 / ミリ波 / 発振器 / 検波器 |
Research Abstract |
本年度は、液体ヘリウム表面の2次元電子系がテラヘルツ検知器として利用できるかどうかの予備実験を行なった。まず、電子系を基底状態にするために50ミリケルビンの低温が必要である。そのために、電子スピンの断熱消磁冷凍機を用いてクライオスタットを構築した。このシステムの最低温度は40ミリケルビンを記録したので、十分な性能であることが確認できた。次に電子系の低周波伝導度の測定を行なうためにコルビノ電極を用い非接触型のセルを作成した。これにより低周波伝導度は問題なく測定できることを確認した。このセルにマイクロ波を印加したとき、伝導度がどのように変化するかを調べるために、K-バンドのマイクロ波発振器からクライオスタット内部へ超高周波同軸ケーブルを引き入れ、低温と超高周波を共存させる装置を製作中である。現在、同軸ケーブルからの熱の侵入が大きいため温度が上昇してしまうという問題があるが、これを低熱伝導度のケーブルを用いることにより解決しようとしている。また、マイクロ波より周波数の低い数十MHzの電磁波を印加したときには、ホットエレクトロン効果による高励起状態への遷移ではないかと思われる伝導度の低下が観測された。この結果はマイクロ波による直接励起の可能性を支持するものであり、有望である。ヘリウム表面電子からの電磁波の放射を観測するために簡易実験を行なった。キャビティー中に2次元電子を作り、熱的に励起された状態から基底状態に遷移させたときに放射される電磁波をボロメータにより検出しようとしたが、感度が低いためその証拠を確認することはまだできていない。
|