2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14655162
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 直志 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (90127118)
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Keywords | 多重極法 / ツリー法 / 高速計算 |
Research Abstract |
研究の進展は研究計画と若干異なるものとなった。まず、もっとも基本的な粒子系の重力場の計算において多重極法とツリー法の速度比較を行なった。この結果、100万粒子程度の相互作用の計算においては、リーフの含む粒子数nの大小によって多重極法とツリー法の速さに相違が生じ、n=10ではツリー法は多重極法より高速であるが、nが増えるにつれて多重極法が速くなり、一方全計算時間はnが1000以下の場合にはnが増えるほど速くなるので、結局、多重極法の方が高速であるとの結論に至った。これは天文学などで通常言われている傾向とは異なる。その原因として多重極展開の項数が10と多い事が挙げられる。実際、天文学などでは展開項数をもう少し小さくとるのが普通である。しかし、境界積分方程式での応用を考えると、この程度の項数をとる事が普通であるので、結局、境界要素法においては、少なくとも3次元Laplace方程式においては、多重極法がツリー法より高速である事が予想される結果となった。事前には天文学からの類推で、ツリー法が多重極法より速い状況が存在する事が期待されていたが、結局、多重極法の優位性が明らかになった。このため、研究計画を変更して、直接計算の系統の高速計算結果と多重極法の比較を行なう事とした。直接計算にはベクトル計算機、及び粒子系の高速計算に特化された専用計算機を用い、pcを用いた多重極法の計算時間と比較した。この結果、専用計算機一台で扱える最大の粒子数である50万粒子よりいくらか少ない場合、専用計算機がもっとも速いが、50万粒子では既に多重極法が速くなり、多重極法が如何に優れた方法であるかを再認識させられる結果となった。今後は計画のように波動問題において同様な比較検討を進めて行く予定である。
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Research Products
(1 results)