2003 Fiscal Year Annual Research Report
流域からの植生残滓による貯水池の有機汚濁に関する研究
Project/Area Number |
14655177
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
道奥 康治 神戸大学, 工学部, 教授 (40127303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 正秀 和歌山大学, システム工学部, 助手 (50324992)
宮本 仁志 神戸大学, 工学部, 助手 (50283867)
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Keywords | 流域管理 / 物資収支 / 有機汚濁 / 流出解析 / 栄養塩 / 森林管理 / 植物残滓 / 粗粒状有機物 |
Research Abstract |
ダム貯水池を多く抱える日本の河川水系では,出し平ダムの事例に見られるように,たとえ栄養塩負荷が低い清流でも,森林の新陳代謝にともない発生する植生残滓が深刻な有機汚濁を生ずる場合がある.本研究では,水系の有機物収支におよぼす流域の役割を明らかにするために,特性が非常に異なる森林流域と都市流域を対象として物質負荷流出の現地観測を実施した.その目的は,流域特性と[栄養塩負荷/植生残滓負荷]構成との関連性を検証することにある. 有機汚濁の形態は植生残滓などの粗粒状有機物と微細有機物の割合に応じて異なると仮定し,山地蹄域では植生・地被条件(特に落葉樹林の面積),栄養塩負荷,市街化率など流域属性の異なる小流域を試験地として設定した.受水域は貯水池であり,流域からの植生残浮が池内の有機汚濁におよぼす影響は水質・生態系モデルによって評価された.貯水池モデルでは植生残樺(粗粒状有機物)の池内での分解過程が考慮された. 森林流域と比較するために,植生残滓負荷が極端に少ない都市流域においても流出負荷を観測した. 汚濁流出解析を通して[栄養塩/有機物]負荷の比率と水質汚濁現象との相関性を理論的に再現した. 生態系モデルを用いた貯水池の水質解析では,粗粒状有機物を考慮することによって有機物収支,流域からの植生残滓負荷の影響など定性的特徴は概ね再現されたが,検証に必要なデータとモデルの再現精度は十分とは言えず,さらに観測・解析を継続して知見を蓄積する必要がある.また,山地・都市流域の両方を対象に汚濁流出解析を実施するべきであったが,現時点では都市流域に対する流出解析にとどまっている. 本研究課題はまさに萌芽的であり,最終年度においても多くの課題を残す結果となった.しかし,本研究によって検討すべきテーマや今後の方向性が明確になったことは意義深いと考えている.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 道奥康治: "閉鎖水域の環境水工学の歩みと展望"土木学会水理委員会,水工学シリーズ. 02-A-6. 1-20 (2002)
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[Publications] 石塚正秀: "地表水の安定同位体比の空間分森に与える地形効果の解明-重回帰分析を用いた検討-"水工学論文集. 第47巻. 1045-1050 (2002)
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[Publications] 道奥康治: "貯水池の富栄養化にともなう熱塩成層のモデル化"水工学論文集. 第47巻. 1237-1242 (2003)
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[Publications] 道奥康治: "貯水池の有機汚濁と採水層における逆転水温層・高塩分水塊の消長について"土木学会論文集. No.740/II-64. 45-62 (2003)
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[Publications] 道奥康治: "傾斜堆積面からの嫌気的溶出により発生する化専政層流と栄養塩溶出・酸素消費の解析"土木学会論文集. 第48巻. 75-90 (2004)
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[Publications] 石塚正秀: "溶存ケイ素に着目した紀ノ川流域における水質特性"水工学論文集. 第48巻. 1483-1488 (2004)
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[Publications] 道奥康治: "フジテクノシステム"地球環境調査計測事典,第2巻,陸域編(2)(分担執筆,竹内均編). 1166 (2003)