2002 Fiscal Year Annual Research Report
近・現代建築デザイン論における人間-環境関係論に関する研究:住宅を事例として
Project/Area Number |
14655217
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舟橋 國男 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029203)
|
Keywords | 建築観 / 人間-環境関係論 / 環境行動論 / 住宅デザイン / エスノメソドロジー |
Research Abstract |
本研究は、近・現代建築デザイン論にみられる人間-環境関係論を、環境行動論における関連研究とそれらの成果に照らして検討し、新しい建築デザイン論の方向性を探るために、特に、(1)現在の住宅デザイン行為の基礎を成している近・現代建築観における人間-環境関係論を明らかにし、(2)その特質を、環境行動論における関連研究の成果に照らして検証し、(3)現代ないし今後の社会・時代状況における新たな住宅デザイン論の方向性を検討する。 本年度は、(1)実際の住宅デザイン行為にみられる建築主と設計者との相互交渉場面の詳細な記録に基づき、両者間の会話・資料等からなる打ち合わせ過程をエスノメソドロジーの視点から記述し、デザイン行為に於ける両者それぞれの役割現象を、それぞれの制度的志向性より見いだされるエスノデザインメソッドの分析を通じて、住環境デザインの協同的実践として考察した。その結果、エスノデザインメソッドとして、「潜在的完結点以外での割り込み」「質問的提案渡欧等への評価」「情報の収集と整理」「情報の抑制」「沈黙と評価の保留」「専門的常識に基づく断言」という協同的実践の様相が浮かび挙がってきた。 (2)一方において、現代社会において圧倒的多数を占める一般的・通俗的な住宅デザイン行為に対して、影響が根強い思潮としての近代主義建築運動に依拠している建築家に注目し、その主張ならびに実際に設計された建築の実態分析を試みた。主として、建築「作品」観ならびにその背景にある人間-環境関係論に関する主張の分析、およびその具体的な現れに関する設計図書類の検討、特に各スペースの分節と配列原理に焦点を当てた。
|