2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゼーベック係数の局所分析技術の開発―異相界面が熱電特性に及ぼす影響の解明―
Project/Area Number |
14655229
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
武田 雅敏 長岡技術科学大学, 工学部, 講師 (30293252)
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Keywords | ゼーベック係数 / 局所分析 / 温度分布測定 / 電位分布測定 / β-FeSi_2 / 単結晶 / 異方性 / 自動測定 |
Research Abstract |
従来のゼーベック係数測定装置は,温度差を付与した被測定試料に数mmの間隔で2本の熱電対もしくは電極を接触させ,電極間の温度差と電位差よりゼーベック係数を算出する.しかしその方法では,不均質な材料のゼーベック係数分布や異相界面におけるゼーベック係数の変化など,局所的なゼーベック係数の測定は不可能である.今年度,本研究ではX-Y-Z微動ステージ,極細熱電対を用いてゼーベック係数の局所分析装置の開発を行った. 試料には2組のペルチェ素子を用いて温度差を付与するようにした.試料および温度付与部はX-Yステージ上に設置した.試料表面の温度および電位を測定するためのプローブには,先端径25μmのK熱電対を使用した.プローブはZステージに設置し,上下に移動できるようにした.計測および温度,位置の制御はコンピュータによって行えるようプログラムを作成した. 長さ約1cmの均質な試料(β-FeSi_2焼結体)について,従来の測定装置と本研究で開発した測定装置でゼーベック係数を測定したところ,その差は約5%であり,定量的にも信頼できる値が得られることを確認した.また,約1mm角のβ-FeSi_2単結晶,粗大粒からなる多結晶についても,試料を絶縁性の樹脂に埋め込むことにより本装置でゼーベック係数を測定できることを示した.この測定より,結晶粒ごと,さらには結晶方位によりゼーベック係数に差があることが明らかになった. 今年度に開発した測定装置により,少なくとも50μm間隔で試料表面の温度,電位を測定し,ゼーベック係数を算出することが可能となった.
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