2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14655244
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
坂輪 光弘 高知工科大学, 工学部, 教授 (40299376)
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Keywords | 木質系資源 / 炭素 / 炭素化 / 植物栽培床 / 菌糸 / 環境 |
Research Abstract |
古紙や木質系資源を原料にして、無酸化(窒素雰囲気など)状態で加熱することで、炭素化する。この過程で、通常の木炭などより遥かに気孔の多い炭を造ることに成功した。炭の気孔は、大きく分けて、マクロ気孔(1μm以上)とそれ以下のミクロ気孔があることが判った。マクロ気孔は、炭化前の原料の密度に主に影響される。ミクロ気孔は、原料の揮発過程で生じるものが多く、原料に依存する。マクロ気孔は、植物や菌糸類が生育するに充分な気孔である。土を全く使わず炭だけの栽培床として利用できることが判った。花やきゅうり、トマトなどから松やハイビスカスなどの植物や樹木も生育する。また、きのこ菌や樹木の生育を助ける菌根菌、ダイオキシンのような難分解性物質を分解する白色腐朽菌もこの炭に生育した。荒れた土壌の改良や汚染された土壌の改良材として、有用菌が生育した炭を使う可能性が出てきた。さらに炭は、化学・物理吸着がある。この吸着特性が、植物や菌糸類の生育にどう影響するか、特にダイオキシンなどの分解でどのように作用するかこれからの課題である。また、マクロ気孔は植物の根や菌糸の大きさに充分であるが、ミクロ気孔の作用はどのようであるかが今後の課題である。生物は、養分摂取や呼吸が必要である。この過程で、ミクロ気孔の作用が重要になってくる。本研究は、未利用の木質系資源を有効に使って、新しい植物や生物の栽培床を造ることができた。さらに新しい環境資材もできる可能性を示すことができた。今後は、炭の特性と生物の特性が最も適した条件を見出していく。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 坂輪光弘, 小笠原大介, 今西隆男, 山崎和紀: "古紙の炭化と生成炭の物性"炭素. 211. 4-9 (2004)
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[Publications] 今西隆男, 山崎和紀, 江口敏記, 坂輪光弘: "古紙から造った炭の特性ときのこ栽培への利用"日本エネルギー学会誌. 82. 254-260 (2003)
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[Publications] 今西隆男, 坂輪光弘: "古紙から造った炭の特性とそれを用いた担子菌類の成長特性"炭素. 200. 249-254 (2001)
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[Publications] 今西隆男, 坂輪光弘: "古紙から造った炭でのヒラタケ栽培"日本応用きのこ学会. 11. 165-171 (2003)
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[Publications] 坂輪光弘, 古牧育夫, 山口一良: "石炭・コークス"日本鉄鋼協会. 266 (2002)