2002 Fiscal Year Annual Research Report
昆布産生アルギン酸塩を被覆した絹繊維/金属複合体の医療機能材料への応用
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14655264
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10208796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 靖 農業生物資源研究所, チーム長
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / 絹繊維 / 水酸アパタイト / 細胞毒性試験 / 細胞付着性試験 / 細胞増殖試験 / 血液凝固試験 / 創傷治癒試験 |
Research Abstract |
絹繊維は適度な弾性率、機械的強度の他に、高吸水性や生体材料として優れた細胞付着性、細胞増殖能、抗血栓性を有することが知られている。本研究では、絹繊維の創傷被覆材への応用を図るために、ゾル-ゲル法により絹繊維表面に止血効果に優れたCa^<2+>を導入する目的で水酸アパタイトの被覆を試み、その細胞毒性試験、血液凝固試験、創傷治癒試験から創傷被覆材としての適合性を評価した。ゾルはモル比でカルシウムジエトキシド:亜リン酸トリエチル:エチレングリコール:脱水エタノール:水:ジエチレングリコール=10:6:359:942:2.5:10の割合のゾル1mlに対し、ゾルの粘度の増加と皮膜の高弾性化を図る目的でポリビニルピロリドンを0.067g添加したものを用いた。被覆は絹繊維(羽二重)をゾルに浸漬し、1mm・_<S-1>の一定速度で引き上げるデップコーティングと、続く大気中乾燥、紫外線照射(波長:184.9nm,253.7nm)からなる操作により行った。被覆後の繊維試料は、高圧水蒸気処理による試料からの抽出液を用いた細胞毒性試験、ラット由来血漿を用いた血液凝固試験の他、創傷治癒試験としてラット数頭に分層採皮創を作製し、その創傷治癒効果を市販のシリコンガーゼと比較した。細胞毒性試験の結果、繊維試料に細胞毒性は確認されなかった。また血液凝固試験から、プロトロンビン時間の短縮は見られないものの、活性化部分トロンボプラスチン時間の短縮傾向が見られ、この短縮が異物接触による血液凝固因子の活性とCa^<2+>の溶出との両者に起因するものであると推定された。従って、血液凝固を阻害する物質の試料からの溶出はないことが判明した。さらに創傷治癒試験の結果、試料の創傷治癒効果および創傷面の固着性は、市販のシリコンガーゼとほぼ同程度であることが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡辺恵司, 坂入正敏, 高橋英明, 平井伸治: "ゾル・ゲル法によりSiO_2を被覆したアルミニウムのアノード酸化"表面技術. 54・3. 235-240 (2003)
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[Publications] 佐藤仁則, 平井伸治, 嶋影和宜, 和田健二: "マグネシウム合金へのゾル-ゲル被覆とその耐食性評価"表面技術. 54・2. 131-136 (2003)
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[Publications] 平井伸治, 鈴木邦彦, 嶋影和宜, 西村聡之, 上村揚一郎, 三友 護: "CS_2ガス硫化反応によるγ-Pr_2S_3およびγ-Nd_2S_3粉末の合成と焼結"日本金属学会誌. 67・1. 15-21 (2003)
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[Publications] 佐藤仁則, 平井伸治, 嶋影和宜, 和田健二: "ゾル-ゲル法によるアルミニウム陽極酸化皮膜へのケイ素酸化物被覆とその評価"日本金属学会誌. 66・12. 1362-1368 (2002)
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[Publications] 嶋影和宜, 平井伸治, 玉置 祥: "希硫酸浸出/電解法によるホタテ貝中腸線廃棄物(通称ウロ)からのカドミウムの除去"資源処理技術. 49・3. 413-418 (2002)
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[Publications] 高橋 徹, 高野明富, 斎藤隆之, 長野伸泰, 平井伸治, 嶋影和宜: "共沈法を用いた廃蛍光体スラッジからの赤色蛍光体(Y_2O_3:Eu^<3+>)の合成"資源と素材. 118・5&6. 579-585 (2002)