2002 Fiscal Year Annual Research Report
複合材料の精密高速斬断法に関する新提案とその実験的証明
Project/Area Number |
14655270
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨井 洋一 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (90026245)
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Keywords | 高速回転刃物 / 3層複合刃 / メタルボンド / レジンボンド / バリ |
Research Abstract |
申請の設備、切断負荷サイクル試験器(電流・電圧・回転数・負荷抵抗同時記録)((株)ロブテックス、RTY-13型)(1台×@2,000)を購入、設置した。現今のセンサー技術の発達により、負荷抵抗の測定方式が、3次元個別ロードセル方式から、3次元同時測定可能なピエゾ素子方式のものに変更されたので、設置時期が遅れたが、全体の研究計画は順調に進んでいる。 1.切断屑の排出と刃物の切削速度 いわゆる"斬る"に近い切断においても、現今主流の切削においても切断屑や切削屑の排出性は、切断能や切削能を大きく左右することが古くから良く知られている。(鋸のアサリや鑢や砥石刃のドレッシング) しかしながら、近年の複合材料の切断では、硬さや靱さ等の機械的性質の大きく異なるものを同時に切断しなければならず、さらに同時に異なった機械的性質の切断屑を滑らかに排出しなければならない。この時の排出機構は、切断のエネルギの一部が使われ、現象論的には切断の速度に大きく依存することが判つている。従って、ここでは、ガラス繊維強化プラスチック張り合わせIC基板や金属、石材、プラスチック、繊維、木材の複合建材等を被切断材料として用い、望遠顕微鏡による拡大と高速度カメラによる時間の引き延ばしによって、回転鋸切断時の切断屑の排出に及ぼす切断速度の影響因子の抽出をミクロな観点から行っている。 2.被切削材のバリ、損傷の発生 不良切断の代表的な損傷はバリの発生である。バリの発生は二次的に被切断物への損傷を引き起こし、切断速度を著しくて生かさせ、複合IC基板等では精密切断を不可能とするばかりでなく、複合建材では被切断部付近の意匠性の損傷を起こす。ここでは1.と同様の観察手法によってバリや損傷の発生が、切断屑の排出不良によるものか、刃物自身の切断形状の不具合によるものかを明らかにした。この結果を取り入れるとともに最適回転刃物の理論計算と設計試作を行い、新規刃物として、ダイヤモンドメタルソウを中心に両サイドにレジンボンドダイヤソウを複合化することに成功し、複合IC基盤専用の刃物として総厚さ200μm(直径50φ)の超高速回転刃物の試作に成功した。現在は、実用化に向けてのデーターの蓄積を行なっている。特許も申請中で今春の学会発表とともに工業展示会ででモンストレートされる予定である。
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