2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸素ガスとの反応速度測定による珪酸塩中酸素イオン活量定量化の試み
Project/Area Number |
14655277
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長坂 徹也 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (30180467)
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Keywords | 同位体交換法 / 珪酸塩 / 反応速度 / 酸素イオン活量 / 酸素同位体 / イオン活量 / 塩基度 / 溶融スラグ |
Research Abstract |
酸化物は、例えばガラス、機能性セラミックス、精錬用フラックス等、広く工業的に利用されている物質である。大部分の酸化物はイオン性物質であることから、その本質的性質を理解するためには、構成イオン種の物理化学的性質を理解しなければならない。しかしながら、酸化物中の酸素イオンの活量は、基準物質が存在しないため、その活量の定量化は困難である。申請者は酸化鉄系酸化物融液とCO-CO_2ガス間の化学反応速度が、広い組成範囲に亘って2価と3価の鉄イオン濃度比に比例することから、反応速度が炭酸イオンと酸素イオンの活量に依存しているものと推測した。この成果から、ガスと酸化物間の酸素自身の反応速度から酸素イオンの活量を間接的に評価することを発案した。初年度は、測定方法を確立するために、実験装置、測定条件の検討を行った。まず黒鉛、モリブデンの試料ホルダーに珪酸塩スラグ試料を乗せて高周波過熱することによって、その表面にスラグ薄膜を保持させた。温度一定の条件でスラグを純酸素と平衡させた後、酸素ガス中に酸素同位体^<36>O_2を5%添加して反応前後における酸素同位体存在比を四重極型質量分析装置で定量した。しかしながら、黒鉛、モリブデンがスラグ中に溶解するため、最終年度では、白金製ホルダーを用いて更に実験を進めた。試料にはCaO-SiO_2-Al_2O_3系溶融スラグ(Al_2O_3=15%、CaO/SiO_2=1.2〜0.9)を用い、1300〜1500℃の温度範囲、0.5〜2.5l/minのガス流量範囲で実験を行ったところ、1500℃ではガス流量依存性が無視できなかったものの、1400℃以下ではガス流量の影響が小さくなり、スラグの塩基度によって反応速度は変化した。この結果から、酸素同位体の交換速度の測定が可能であることが示され、測定原理がほぼ確立できた。酸素同位体ガスが極めて効果であることから、残念ながらこれ以上の実験を継続することはできなかったが、現在民間の助成団体に研究費を申請しており、採択されれば直ちに実験を継続する予定である。
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