2002 Fiscal Year Annual Research Report
水面分子ケミストリー:不均質化学反応のその場・超高感度検出
Project/Area Number |
14655315
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 明 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (90222231)
|
Keywords | 不均質化学反応 / 水面 / レーザー多光子イオン化 / シンクロトロン光イオン化 / 表面分子濃度 / 経時変化 / 芳香族分子 / イオン化ポテンシャル |
Research Abstract |
本研究は、1)液面の不均質化学反応を高感度・高時間分解能で追跡可能な手法の確立、および、2)液面での溶質分子の溶媒和状態と不均質化学反応の理解に向けた研究を目的としている。気液界面で起こる不均質化学反応の微視的な観点からの理解は、気相反応はもとより溶液内反応に比べて極端に遅れている。観測手段が限られ、界面の構造やそこでの溶質分子特性の理解が進んでいないことが問題である。液面では、蒸気圧ゆえに真空系の実験が普通できない。表面張力や表面電位測定、エリプソメトリーは、分子観測法としては間接的である。和周波発生分光法などの非線形分光法は情報は豊富ながら感度面で致命的弱点を有している。そこで、液面の分子から放出される光電子を検出することにより目的分子の表面選択的な高感度検出を実現し、液面からの分子脱離や液面への分子取り込みや、液面での分子配向、さらには不均質化学反応のその場観測を行うことを試みている。2年計画で実施している第1年度である本年は、液面分子の光イオン化信号観測装置系を設計・試作・改良し測定条件を設定した。マルチチャンネルスケーラを導入し、分子の水面吸着にともなう経時的な信号変化の測定を行った。実験室においては、I.レーザー光を光源とした多光子イオン化を用いた水面分子の添加後経時変化の観測、分子科学研究所極端紫外光実験施設においては、II.シンクロトロン光を光源とした水面分子の光イオン化スペクトルの測定、およびその経時変化の測定とを実施している。特記すべき成果は、水面に添加された揮発性芳香族分子で、液体が蒸発した後に1時間以上経ても、水面に分子がある程度残存している実験的証拠を得たことである。界面張力が添加後5分で回復するという結果と大いに異なり、本法の有効性が示された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Koichiro SENO, Toshio ISHIOKA, Akira HARATA, Yoshihiko HATANO: "Potoionization of Rhodamine Dyes Absorbed at the Aqueous Solution Surfaces Investigated by Synchrotron Radiation"Analytical Sciences. 17. i1177-i1179 (2002)
-
[Publications] Oksana N.SLYADNEVA, Akira HARATA, Yoshihiko HATANO: "Phase Transitions in Langmuir Monolayers of a Rhodamine Dye as Studied by a Second Harmonic Generation Technique"Surface Sciences. 507. 713-718 (2002)
-
[Publications] Oksana N.SLYADNEVA, Akira HARATA, Yoshihiko HATANO: "Application of Second Harmonic Generation Technique to the Study of Phase Transitions in Langmuir Monolayers of a Rodamine Dye"Analytical Sciences. 17. i1173-i1176 (2002)
-
[Publications] Valeria TSUKANOVA, Hugo LAVIOIE, Akira HARATA, Teiichiro OGAWA, Christian SALESSE: "Microscopic Organization of Long-Chain Rhodamine Molecules in Monolayers at the Air/Water Interface"Journal of Physical Chemistry B. 106・16. 4203-4213 (2002)