2004 Fiscal Year Annual Research Report
超分子型分子集積体の創製と高性能触媒およびデバイス機能の開発
Project/Area Number |
14655333
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
西口 郁三 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20026347)
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Keywords | クラウンエーテル環 / 銅フタロシアニン化合物 / ビスフタロニトリル化合部 / 塩化第2鉄 / 分子認識 / 深色移動 / 金属錯体 / 超分子型分子集積体 |
Research Abstract |
同一ベンゼン環上に金属捕捉能を有するクラウンエーテル環をもつフタロシアニン化合物では、金属は2分子のフタロシアニン化合物のクラウンエーテル環の間にサンドイッチ型挟まれて補足されると報告されている。しかし、クラウンエーテル環が異なるベンゼン環の間に分子内を架橋した場合には、平面構造をもつ元のフタロシアニン環の窒素原子や2個の酸素原子を含めて9個の原子が同一平面内に存在するため、クラウンエーテル環のキャビテイの大きさが比較的安定しており、金属半径とキャビテイの大きさを調整することにより不安定なサンドイッチ型ではなく、金属をほぼ完全にクラウンエーテル環内に包含して補足できる事が期待される。異なるベンゼン環の間にトリまたはテトラエチレンクリコール鎖をもつビスフタロニトリル化合物を、DBUの存在下、CuCl又はCoCl_2とアミルアルコール中で反応(環流30時間)させると、それぞれ対応する中心金属とクラウンエーテル環をもつ新規フタロシアニン化合物が35-70%の収率で得られた。これらの化合物は分光学的分析法(IR,UV-VIS)および元素分析によりその構造を確認した。一般に含Cu化合物は715〜750nmに、含Co化合物は700-710nmの近赤外領域にそれぞれ幅広い最大吸収波長を示した。さらに、クロロホルムに溶解させたフタロシアニン溶液に種々の金属塩化物を加え、室温中に混和撹拌させ、各々の紫外吸収(UV)スペクトルを測定した。その結果、多くの金属塩化物の中で、塩化第2鉄および塩化ルテニウムを用いた場合のみ、UVスペクトルにおいて元の銅フタロシアニンの最大吸収波長(λmax=723-736nm)が、塩化第2鉄の場合はλmax=799-853nmに、また塩化ルテニウムの場合はλmax=799-853nmに深色移動し、それぞれ対応する金属錯体が選択的に形成されている事を観測した。緑色の銅フタロシアニンと塩化第2鉄(FeCl_3)とから形成される赤褐色の金属錯体の単離に成功し、この赤褐色の金属錯体をトリエチルアミンのような塩基で処理すると、元の緑色の銅フタロシアニンが再生することも確認された。さらに、そのFAB-MASSスペクトルより、この金属錯体では、銅フタロシアニン1分子と2分子の塩化第2鉄が[FeCl_4]^<-I>イオンにより形成されているという興味深い事実が判明した。
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Research Products
(8 results)