2002 Fiscal Year Annual Research Report
コバルトアート錯体の一電子移動能に基づく新規ラジカル反応の開発
Project/Area Number |
14655335
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
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Keywords | 金属アート錯体 / コバルト / グリニャール反応剤 / Heck反応 / アリル化 / 四級炭素構築 / カップリング反応 / ラジカル反応 |
Research Abstract |
1.パラジウム触媒によるHeck型反応は、重要な炭素-炭素結合生成法である。しかし、β-水素をもつハロゲン化アルキルを基質として用いることはできなかった。β-水素をもつハロゲン化アルキルを基質として用いた場合には、パラジウムの酸化的付加の後β-水素脱離が優先して進行するためである。これに対し、コバルト触媒を用いることにより、βー水素をもつハロゲン化アルキルとスチレンとのHeck型反応が実現できることを見いだした、エーテル中、臭化シクロヘキシルとスチレンの混合物に対して、触媒量の塩化コバルトビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン錯体存在下に、0℃でMe_3SiCH_2MgClを作用させると、β-シクロヘキシルスチレンが91%の収率で得られた。用いるハロゲン化アルキルの一般性について検討した結果、臭化物のみでなく、塩化物、ヨウ化物でも反応は良好に進行した。さらに、第二級のハロゲン化合物だけでなく、第一級、あるいは第三級のハロゲン化アルキルを用いても収率は良好であった。 2.コバルト触媒とアリルマグネシウム反応剤を用いる有機ハロゲン化合物の新規アリル化反応を見いだした。CoCl_2(dppp)錯体触媒存在下にハロゲン化アルキルに塩化アリルマグネシウムを作用させると、カップリング体が収率よく得られることが明かとなった。第三級ハロゲン化アルキルの置換反応によって四級炭素が効率よく構築できる点が本反応の大きな特徴である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takashi Tsuji: "Cobalt-Catalyzed Coupling Reaction of Alkyl Halides with Allylic Grignard Reagents"Angew. Chem. Int. Ed.. 41・21. 4137-4139 (2002)
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[Publications] Yousuke Ikeda: "Cobalt-Catalyzed Heck-Type Reaction of Alkyl Halides with Styrenes"J. Am. Chem. Soc.. 124・23. 6514-6515 (2002)
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[Publications] Takuma Fujioka: "Cobalt-Catalyzed Intramolecular Heck-Type Reaction of 6-Halo-1-hexene Derivatives"Org. Lett.. 4・13. 2257-2259 (2002)
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[Publications] Toshihiro Nishikawa: "Cyclization of 1,6-Enynes with Allylic Chromate Species"Org. Lett.. 4・16. 2795-2797 (2002)