2002 Fiscal Year Annual Research Report
光機能有機基と分子内で共同作用するメタロセン誘導体の設計
Project/Area Number |
14655337
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (00152455)
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Keywords | メタロセン / 吸収スペクトル / シストランス異性化 / アゾベンゼン / 結合形成反応 / 有機金属化合物 |
Research Abstract |
アゾベンゼンおよびフェロセニレン基とをジアミノフェニレン鎖で連結した化合物および各種誘導体の合成を行った。本研究の目的とするこの化合物はアゾベンゼン、アミノ基、メタロセン部分を有し、酸化をはじめとするきびしい反応条件になじまない一方、多くのアミノ基を含むため、その合成にあたっては、温和な条件でC-N結合形成を円滑に行わなければならない。これらの点に基づいて、遷移金属錯体触媒による炭素-窒素結合形成過程を積極的に用いる以下の合成を行った。ルテニウム錯体触媒によってフェロセンジメタノールとブロモアニリンとの縮合反応を行い、ブロモフェニルアザフェロセノファンを得た。これに続くアゾベンゼン部分の導入には、パラジウム触媒による第二級アミンと芳香族ハロゲン化物とのクロスカップリングによるC-N結合形成反応を用いた。これらの手法により、目的とするアゾベンゼン側鎖をもつフェロセノファン誘導体を多数得ることができた。X線構造解析や各種NMRで構造を決定し、アゾベンゼン部分は基底状態ではトランス構造をとり、フェロセン部分とアミノ基とは十分な電子移動がおこりうる距離にあることがわかった。 これらの化合物の酸化、還元条件下でのスペクトル変化を比較し、分子の構造と機能との相関を明らかにし、これらの知見に基づいてその電子・光刺激に基づく刺激応答作用機構の解明を行った。電気化学的に酸化したところ、フェロセン部分の酸化によってフェニレンジアミノ部分の電子状態低下がおこり、アゾ基の異性化が加速された。すなわち、金属の電子状態とアゾベンゼンの構造変換とがこの部位を介して相互に伝達されることがわかった。 次年度には、本年度の成果をふまえて、アゾ基とフェロセン部分との連結部の長さを調節した化合物を合成し、刺激と応答の線形性について比較検討するとともに、これらの分子を集合体とする機能性材料の開発をおこなう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Makoto Tanabe, Kohtaro Osakada: "Structure of 4-Sila-3-platinacyclobutene and its Formation via Pt-promoted γ-Si-H Bond"Journal of the American Chemical Society. 124. 4550-4551 (2002)
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[Publications] Takeyoshi Yagyu, Yuji Suzaki, Kohtaro Osakada: "Chemical Properties of Cationic Phenylplatium Complexes with a 2,2'-Bipy Ligand. Oxidative Addition of MeI, Insertion of Allene"Organometallics. 21. 2088-2094 (2002)
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[Publications] Masumi Itazaki, Yasushi Nishihara, Kohtaro Osakada: "Platinum Complex Catalyzed Hydrosilylation and Isomerization of Methylenecyclopropane Derivatives. Effect of Structures of the Substrate"Journal of the Organic Chemical Society. 67. 6889-6895 (2002)
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[Publications] Y.Suzaki, T.Yagyu, Y.Yamamura, A.Mori, K.Osakada: "Disproportionation of PtPh(CH_2COMe)(cod) and Conproportionation of PtPh_2(cod) and Pt(CH_2COMe)_2(cod) via Intermolecular Phenyl Ligand"Organometallics. 21. 5254-5258 (2002)
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[Publications] Yasushi Nishihara, Miwa Takemura, Kohtaro Osakada: "Structure and Chemical Properties of Halohydrido(silyl)rhodium Complexes, RhX(H)(SiR^1_nR^2_<3-n>)(PPh_3)_2 (X = Cl,I). Difference in Their Stability and Reactivity"Organometallics. 21. 825-831 (2002)
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[Publications] Makoto Tanabe, Masaki Horie, Kohtaro Osakada: "Preparation, Structures and Electrochemical Properties of Silaplatinacyclohexadienes with Ferrocenyl Pendant Groups"Organometallics. 22. 373-376 (2003)