2002 Fiscal Year Annual Research Report
均一PMMAのステレオコンプレックス形成:複雑な高分子会合系への新しいアプローチ
Project/Area Number |
14655348
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
右手 浩一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (30176713)
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Keywords | ポリメタクリル酸メチル / ステレオコンプレックス / 均一ポリマー / LC-NMR / サイズ排除クロマトグラフィー / 拡散係数 / DOSY / 分子会合 |
Research Abstract |
1.メタクリル酸メチルのイソタクチック24量体とシンジオタクチック48量体をアセトン-重アセトン混合溶媒中,等モル(重量比2.0)で混合し,-15℃で24時間保持した.この混合物をSEC-NMRで分析すると,会合に関与していない24量体と48量体の各溶出ピークの他に,ステレオコンプレックスによるピークが両者の中間に観測された.ステレオコンプレックスの流体力学的体積は,重合度約30のイソタクチックPMMAに相当し,イソタクチック体とシンジオタクチック体の重量比は1.90から2.24であることがわかった.この結果は,イソタクチック24量体とシンジオタクチック48量体各々1分子からなるステレオコンプレックスが主として生成することを示している. 2.上記と同じ混合物のDiffusion-ordered NMR(DOSY)測定を-15℃で行った.SEC-NMRの結果とは異なり,会合に関与しないイソタクチック24量体とシンジオタクチック48量体の存在は認められなかった.また,ステレオコンプレックスの拡散係数は,イソタクチック24量体とシンジオタクチック48量体のいずれよりも小さかった.これらの結果から,溶液中で平衡状態にあるステレオコンプレックスの場合,サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は会合状態を正確に反映しない場合があると考えられる.DOSY測定では,会合体の自己拡散係数が減少するにつれて,スペクトルが広幅化することがわかった.これは,混合物中のステレオコンプレックスの構造が均一でないことを示している.
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