2002 Fiscal Year Annual Research Report
光化学反応に基づく分子長変化により異方的に運動する高分子液晶ゲルの開発
Project/Area Number |
14655355
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 富樹 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (40143656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 基 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手
宍戸 厚 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (40334536)
塩野 毅 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (10170846)
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Keywords | ゲル / 液晶 / アゾベンゼン / 架橋剤 / 異方性 / 光屈曲 / フォトクロミズム |
Research Abstract |
高分子ゲルは外部刺激に応答し物性を変えるため,刺激応答材料として近年活発に研究がなされている。これまでに,pH,温度,電場,光に対して体積相転移するゲルが報告されており,このようなゲルを機能材料として応用することが試みられている。例えば,電場や光に対して体積や形状が変化するゲルは,流量調節バルブ,光記録材料,人工筋肉,マイクロマシンの駆動部などへの応用が検討されている。しかしながら,溶媒によるゲルの膨潤・収縮を利用する従来の系では大きな変化を高速に誘起することが困難であり,また溶媒中という限られた環境でしか利用できず,全く新しい機構によって駆動される高分子ゲルを開発する必要がある。代表的なフォトクロミック色素であるアゾベンゼンは,分子長がトランス体で9.0Åであり,シス体に異性化すると5.5Åに収縮する。このため,アゾベンゼンの分子長変化を利用すれば,光でゲルの形状変化を誘起できる可能性がある。分子長変化というミクロな効果を利用して,ゲルの変形というマクロな形状変化を引き起こすためには,分子を組織化することが重要である。液晶は協同効果を示す材料であり,分子の巨視的な配向に基づいていろいろな物性に大きな異方性を示す。そこで本研究では,高分子アゾベンゼン液晶を用いて光刺激により運動する高分子ゲルを開発することを目的とした。本年度においては,アゾベンゼン骨格を含む液晶モノマーおよび架橋剤の合成およびその光応答性について検討した。アゾベンゼン液晶モノマーおよびアゾベンゼン含有架橋剤を合成し,厚さ2-20μmのセル中で重合した後取り出すことで,広い温度範囲で液晶相を示す一軸配向性自己支持膜を得た。フィルムをガラス転移温度以上に保ち,高圧水銀灯の波長366nmおよび436nmの光を交互に照射することで,フィルムの屈曲を可逆的に繰り返し光誘起できることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Nakano, Y.Yu, A.Shishido, O.Tsutsumi, A.Kanazawa, T.Shiono, T.Ikeda: "Photoresponsive Behavior of Azobenzene Liquid-Crystalline Gels"Mol. Cryst. Liq. Cryst. (印刷中). (2003)
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[Publications] T.Ikeda, M.Nakano, Y.Yu, O.Tsutsumi, A.Kanazawa: "Anisotropic Bending and Unbending Behavior of Azobenzene Liquid-Crystalline Gels by Light"Adv. Mater.. 15. 201-205 (2003)
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[Publications] J.Mamiya, K.Kanie, T.Hiyama, T.Ikeda, T.Kato: "A Rodlike Organogelator : Fibrous Aggregation of Azobenzene Derivatives with a syn-Chiral Carbonate Moiety"Chem. Commun.. 1870-1871 (2002)
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[Publications] T.Ikeda, S.Yoneyama, T.Yamamoto, M.Hasegawa: "Refractive-Index Modulation by Means of Photosensitive Liquid Crystals"Mol. Cryst. Liq. Cryst. 375. 45-60 (2002)