2003 Fiscal Year Annual Research Report
果実肥大機構解明のための単一柔細胞内での糖代謝関連遺伝子の発現解析の可能性
Project/Area Number |
14656013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 教授 (10111949)
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Keywords | マイクロマニピュレータ / 果実肥大 / 糖代謝関連酵素 / 単一細胞 |
Research Abstract |
昨年度、単一柔細胞から採取した細胞液を用いて遺伝子の発現を測定することは非常に困難であることが明らかとなったので、本年度はマイクロマニピュレータを改良した装置で単一細胞内での糖含量・組成を確実に測定する方法を確立し、果実肥大と糖代謝の関連を細胞レベルで明らかにすることが出来るかどうかを調査することを第一の目的として実験を行った。まず、カキ'平核無'果実に対して幼果期にヘタ片除去処理を行うことによって果実肥大を抑制し、その処理によって果実内に生じる糖代謝の変化を昨年度構築した方法によって確実に検知することが出来るかどうかを経時的に調査した。その結果、ヘタ片の除去によって、'平核無'果実の単一柔細胞から採取した細胞液の糖組成は処理後の日数が経過するとともに、コントロール果実と比較して有意にショ糖の比率が増加し、果糖やブドウ糖の還元糖含量が低下していることが明らかとなった。さらに、酸性インベルターゼの活性をこの単一細胞から採取した細胞液を用いて測定することを試みたところ、単一細胞から採取した細胞液を用いての測定が可能であり、また、その活性が細胞レベルで低下していることが明らかとなった。 さらに、糖組成の異なる数種のカキ品種を用い、ショ糖蓄積型品種から採取した単一細胞の細胞液中の酸性インベルターゼ活性は低く、還元糖蓄積型品種から採取した液胞液の酸性インベルターゼ活性は高いことが示され、単一細胞内での糖代謝関連酵素活性の測定が可能であることが確認できた。今後は糖代謝関連遺伝子の発現を単一細胞レベルで測定する方法を模索するとともに、酵素活性そのものを測定する方法を検討すること果実の肥大機構を細胞レベルで解析するために有効であると思われた。
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