2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14656021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高須 啓志 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50212006)
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Keywords | 寄生蜂 / 寄主探索 / 日周活動 |
Research Abstract |
平成14年度は福岡市に設置したクズ群落固定調査地での6-8月における調査の結果、以下のように、寄主であるマルカメムシ卵の産卵およびマルカメクロタマゴバチの活動に明らかな日周パターンがあることが判明した。マルカメムシ卵は午前11時〜午後3時に産卵が起こった。6月より7月の方が、産卵時刻が遅くなった。蜂は午後2時から6時に寄主卵上にいる個体が最も多かった。次に午前7時〜9時が多く、午前10時から午後2時にはほとんど蜂は観察されなかった。午前中に観察された個体のほとんどは前日の午後から寄主に産卵している個体であることから、蜂の寄主探索は午後2時から日暮れに行われるといえる。また、午前11時に寄主へ到着した個体がいたが、その個体は午後4時まで寄主付近に留まり、産卵しなった。これらの結果から、この蜂の活動は明らかに日周性を持ち、寄主探索および産卵は午後2時から日暮れに行われるといえる。7月の調査では、この蜂の前日の午後、寄主に産卵した蜂の一部は、翌日その寄主付近では発見できなかった。寄主卵隗のあるクズの新芽の隙間(折り畳まれた新葉と新葉の間)を観察したところ、蜂が新芽の隙間で休息しているのが発見された。クズの新芽の隙間には、しばしば餌となるアブラムシの甘露も存在し、天敵からの回避にもなるため、蜂は休息場所としてクズの新芽の隙間を利用していると考えられる。野外における寄生蜂の日周活動や夜間の休息場所の発見は、寄生蜂を天敵として有効に利用する場合に考慮が必要な要因である。
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