2002 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ突然変異体利用による高感度遺伝毒性検定系の開発
Project/Area Number |
14656024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河口 豊 九州大学, 大学院・農学研究科院, 助教授 (80038306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 宜宏 九州大学, 大学院・農学研究科院, 助手 (30253595)
古賀 克己 九州大学, 大学院・農学研究科院, 教授 (40038261)
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Keywords | カイコ / 発生初期卵 / MNU / 環境変異源 / 遺伝毒性 / 高感度検定系 / 浸漬処理 |
Research Abstract |
本研究では,カイコを変異源物質、環境汚染物質、環境ホルモン並びに食品添加物検定系のモデル動物として広く利用する路を開発することを目指し、カイコを用いた実験用代替動物の検定系の確立を目指す。 今年度は発癌性・変異源性物質の一種であるメチルニトロソウレア(MNU)を用いてカイコの胚発生に及ぼす影響について分析を行った。孵化率を検定の指標にして、テストするカイコ卵のa)卵齢、b)MNUの濃度、c)浸漬時間を調べたところ、a)卵齢3.5hrの発生初期卵、b)MNU10mM、c)浸漬15分間の結果を得た。 これらの条件でカイコ初期発生卵を浸漬処理したところ、孵化率は19.1%(対照区89.4%)、死卵割合は80.9%(対照.区10.6%)であった。孵化不能になった死卵について、胚発生に与える影響を胚子の全体標本を作製して、形態の観察を行った。(1)着色前死卵の場合、胚子両端部における細胞集塊の形成、胚子の体節分化不全、胚子の体軸捻転など、(2)着色催青前死卵の場合、胚子の異常伸長、卵内の胚子形成位置の異常、胚子の異常屈曲など、(3)催青死卵の場合、胚子頭部並びに剛毛や体表における着色不全、胚子反転不能、中胚葉や内胚葉由来の器官形成不全などの形態異常を伴った胚子が観察された。MNUは細胞質や核に損傷を与え、その結果として細胞と組織の分化異常を来すものと推察した。 カイコ卵の孵化率と死卵発生率を指標にした発生初期卵による卵浸漬法は化学物質の催奇形性や安全性の簡便な第一次検定系になりうる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ota et al.: "Cloning and characterization of testis-specific tektin in Bombyx mori"Comparative Biochemistry and Physiology Part B. 133. 371-382 (2002)
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[Publications] Kawaguchi et al.: "Morphological variation of micropylar apparatus in Bombyx mori eggs"Journal of Insect Biotechnology and Sericology. 71. 49-54 (2002)
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[Publications] Lee et al.: "Molecular characterization of a Heat Shock Cognate 70-4 promoter from the silkworm, Bombyx mori"Journal of Insect Biotechnology and Sericology. (in press). (2003)