2002 Fiscal Year Annual Research Report
生物の新規鉄結合蛋白質Dprを介した酸素耐性機構の解明及びDprの起業化への試み
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14656030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神尾 好是 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00109175)
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Keywords | 乳酸菌 / Dpr / 酸素耐性因子 / 鉄結合蛋白質 / ラジカル / フェントン反応 |
Research Abstract |
乳酸菌の一種であるStreptococcus mutansから、新たに過酸化物耐性因子dpr (Dps like peroxide resistance gene)遺伝子を見出した。Dpr分子がどのようにS.mutansに酸素耐性を付与しているか明らかとするため、dpr遺伝子産物の取得と解析を行った。好気的に培養したS.mutansの菌体約10gから、ハイドロキシアパタイトを用いたバッチ法と3種のカラムクロマトグラフィーを用いて、精製度で約50倍、精製標品として約2.4mgのDpr蛋白質を得た。Dpr分子は、SDS-PAGEで20kDa、沈降平衡法で223kDa、動的光散乱法で292kDaの分子量を示したことから、約12量体からなる複合体を形成していると考えられた。また、このDprの複合体は直径約9.2nmの球状の粒子として顕微鏡で観察され、鉄結合蛋白質であるフェリチン(直径12.5nm)と類似した形状であった。ICP-MASSを用いて、金属元素種の同定と定量を行った結果、精製したDpr分子には複合体当たり鉄と亜鉛がそれぞれ27.8、10.5個含まれていた。Dpr精製標品の鉄および亜鉛との結合能について調べた結果、その最大積載量は鉄が複合体当たり480個、亜鉛が11.4個であった。また、Dprは球状のフェリチン様の12量体を形成する分子であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yuji Yamamoto, Leslie B.Plloe, Roy R.Hantgun, Yoshiyuki Kamio: "An iron-binding protein, Dpr, from Streptoccus mutans prevents iron-dependent hydroxyl radical formation in vitro"Journal of Bacteriology. 184(11). 2931-2939 (2002)
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[Publications] 山本裕司, 佐々木隆, 佐々木泰子, 本目佳子, 三宅泰司, 神尾好是: "乳酸菌の酸素特性メカニズム"日本農芸化学会誌. 76(9). 843-845 (2002)