2003 Fiscal Year Annual Research Report
生物の新規鉄結合蛋白質Dprを介した酸素耐性機構の解明及びDprの起業化への試み
Project/Area Number |
14656030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神尾 好是 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00109175)
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Keywords | 乳酸菌 / Dpr / 酸素耐性因子 / 鉄結合蛋白質 / ラジカル / フェントン反応 |
Research Abstract |
今日まで、生物の酸素障害防御の立役者は、カタラーゼ[乳酸菌においては、カタラーゼの代わりに2成分性パーオキシダーゼ(AhpR)が存在する]及びスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)とされてきたが、申請者らは、乳酸菌Streptococcus mutans及びStreptococcus thermophilusに両酵素が全く関与しない新規鉄結合蛋白質Dpr(Dps like peroxide resistance)を介した酸素耐性機構の存在を世界に先駆け発見した。そして、Dpr欠損株における酸素感受性が細胞内におけるフリーの鉄イオン存在下でフェントン反応で発生する[・OH]に起因するものである事実を世界に先駆け発見した。Dprが属するDpsファミリーの蛋白質では、DNAとの非特異的な結合が報告されており、DNAとDps蛋白の強固な結合自体がDNAを過酸化水素から保護しているとされているが、DprにはDNAとの結合能は認められなかった。SOD活性やSynechococcusのDpsAで報告されているカタラーゼ活性も認められなかったことから、Dpr分子の酸素耐性能は、鉄結合能に由来すると考えられ、案際に鉄イオンに依存したヒドロキシルラジカルの産生を効果的に抑えることができた。この結果は、一連のdpr欠損株の好気条件下での生育阻害が、ヒドロキシルラジカル由来するとした我々の前報の仮説を支持するものである。そこで、S.mutansの野性株ならびにDpr変異株における酸素非存在下と存在下での細胞内のフリーの鉄イオンの変動を検討した結果、酸素非存在下では、両者一定の鉄濃度(225〜300μM)を示した。野性株では、一時間空気にふれると細胞内のフリーの鉄イオン濃度は、22μMに激減した。ところが、変異株では、300μMのままに止まった。そして、菌の生存率が1/1000と激減した。又、変異株においてのみ、DNAの急速な分解が起きていた。これらのことから、乳酸菌における細胞内フリーの鉄イオンのDprによる濃度制御が細胞の酸素耐性を決定していることが明らかになった。
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