2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質工学によるセリシン誘導体の創製,および構造と機能相関性の解明
Project/Area Number |
14656042
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
中森 茂 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (00254243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 和久 セーレン株式会社, 開発研究第2部, 研究員
高橋 正和 福井県立大学, 助手 (80315837)
高木 博史 福井県立大学, 教授 (50275088)
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Keywords | セリシンタンパク質 / タンパク質工学 / 組み換えセリシン / 昆虫細胞 / 反復配列 / 細胞死抑制 / 増殖促進 |
Research Abstract |
カイコのセリシンタンパク質をコードする遺伝子ser1に含まれる9つのエクソンの中から、セリシンに特徴的なSerとThrに富む38アミノ酸からなる反復配列(これを「組み換えセリシン」と呼ぶ)の調製法を前年度の検討で確立したので、本サンプルを使用して昆虫細胞培養系への効果について調べ、以下のような結果を得た。 1)培養に使用した昆虫細胞Sf9は培地中の血清を除去することによって細胞死が引き起こされることを見いだした。 2)この細胞死は「組み換えセリシン」の一つ、38アミノ酸の2回連続ペプチド、SerDを添加することによって、濃度依存的に抑制されることを見いだした。この現象はセリシン加水分解物の添加によっても見られた。 3)SerDとセリシン加水分解物の添加は細胞死の抑制のみならず、Sf9の増殖促進効果を示した。 4)同様の効果はBSFの添加によっても観察されたが、セリシン誘導体とBSFとの構造的な相違から、SerDの特定のアミノ酸の配列に細胞死抑制と増殖促進効果があることが考えられた。この結果は単に細胞の増殖に有力な情報であるだけではなく、無血清培地での細胞の増殖と安定化と言う実用的な視点からの有力な情報を与えるものである。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Masakazu Takahashi, 他4名: "Protection against cell death caused by acute serum deprivation with the silk protein, sericin, in insect cell culture."Biotechnology Letters. 25. 1805-1809 (2003)