2002 Fiscal Year Annual Research Report
陸と海のはざまの森林生態学:海浜林における植物-動物関系
Project/Area Number |
14656065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡慶次 睦範 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30291983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 直哉 京都大学, 大学院・農学研究科, 講師 (10221821)
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Keywords | 海浜植物群集 / 分布パターン / 動物-植物関係 |
Research Abstract |
1.比較のため東アジア暖温帯海浜林と熱帯海浜(マングローブ)林の調査を平行しておこなうこととし、調査初年として、暖温帯海浜林の一例として天草下島北西部の砂咲に発達する海浜群落、熱帯マングローブ林の一例としてスラウェジ北部の海浜林を選び、調査区域を選択した。 2.天草下島の海浜林では、主要樹種の分布及び成長パターンと動物の時空間的消長に関するデータを集めるためのプランニングを行い、特にライトトラップによる昆虫類の採集を行った。また、葉、花及び実に対する捕食圧を推定するための基本データを得た。 3.天草の海浜林のうち、特に高潮時には根元まで海水が浸かるところのハマボウに着目し、昆虫による果実の食害に関する予備調査をおこなった。この結果、海に隣接する場所にもかかわらず、かなりの頻度(木によって差はあるが、50%以上)で果実に対する捕食圧がかかっているものと推定された。ハマボウの果実を食する昆虫(鱗翅目幼虫)の同定は今後の課題として残されているが、一応全齢期にわたる個体の確認ができたので、今後の観察・調査の目処がついた。 4.スラウェジのマングローブ林では、樹種の構成が異なる2地域において主要樹種の空間分布に関する調査をおこなった。そのうちの一地域では、合せてライトトラップによる昆虫類の採集を試みた。マングローブでのライトトラップの運用はこれまで前例がなかっただけに、さまざまな困難に遭遇した。特に、樹上性アリによる、トラップ内捕獲昆虫の「盗み取り」は大きな問題であった。しかしながら、完全ではないが対応策を講ずることができ、最低限のデータは確保できる目処がついた。
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