2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14656066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷田貝 光克 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00313081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 辰朗 (独法)森林総合研究所, (研究職)研究室長
堀 啓映子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40322044)
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Keywords | 燻煙成分 / ニーム / 熱分解物 / 殺蟻作用 / シロアリ / 熱分解 / 酢酸 / 燻煙成分捕集装置 |
Research Abstract |
東南アジアを中心にその抽出物や植物体の粉砕物が殺虫用として用いられているニーム(Azadiracta species)の葉と種子の熱分解を行ない、その煙成分を分析、同定し、さらにその成分の殺蟻性を調べた。 使用したニームはタイ国産(A.excelsa)1種1個体、インド産(A.indica)1種1個体、フィリピン産(A.siamensis)1種2個体の種子および葉である。材料は本実験用に考案された密閉用ガラス容器内で煙が発生しなくなるまで370℃。470℃で加熱し、放熱後、煙の凝縮物を採取し、GC/MSによって成分の同定を行った。 通常の木質系試料の炭化で得られる熱分解液では酢酸が有機物中の20〜30%を占めるのが一般的であるが、ニームの熱分解では葉、種子ともに数%に留まり、中には酢酸を含まないものも存在した。葉の熱分解物中にはp-hydoroxy cinnamicacidが10〜30%含まれており、これは葉の成分が熱分解を受けずに放出されたものと思われる。ニーム熱分解物では酸類に比べフェノール類が多く、種子では高級脂肪酸類が高いことが特徴的であった。2-hydroxypiridine等の窒素化合物が相当量含まれていることもニーム熱分解物の特徴である。 熱分解温度を一定速度で昇温させた時の成分変化を考察するためにレトルトに冷却機能を備えたガラス製捕集器具を考案し、熱分解成分を捕集し、同定を行った。その結果、主要生成物の熱分解温度とその二次分解等による成分へかの様子を把握した。 熱分解生成物の殺蟻作用を調べるために、6穴マルチディッシュにによる殺蟻試験を考案し、ニーム熱分解物のシロアリに対する接触、非接触試験を行い、殺蟻活性を認めた。活性は産地により、また、葉と種子により大きな差があることが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 逆瀬川三有生, 堀 啓映子, 谷田貝光克: "植物熱分解生成物の成分特性と生物活性(2)殺蟻活性"日本木材学会講演要旨集. 53. 396 (2003)
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[Publications] 谷田貝 光克 編著: "香りと環境"フレグランスジャーナル社. 323 (2003)