2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14656066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷田貝 光克 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00313081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 啓映子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40322044)
大平 辰朗 (独)森林総合研究所, 研究室長
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Keywords | スギ / 炭化機構 / 燻煙 / テルペン / ヘッドスペース / チャ / 殺蟻活性 / 熱分解 |
Research Abstract |
1)スギ線香のやすらぎ感のある燻臭を明らかにする目的で、スギ葉が燃焼時に発する燻煙、スギ葉ヘッドスペース、スギ葉精油のそれぞれの成分について比較検討した。スギ葉精油からはテルペン炭化水素、テルペンアルコールを主とした200種を越える成分を検出した。スギ葉ヘッドスペース成分としてはsabinene,α-pineneなど、モノテルペン16種が検出された。スギ葉燻煙成分としてはスギ葉ヘッドスペース成分と類似したsabinene,α-pineneを主とするモノテルペン21種と脂肪族由来と考えられる直鎖系炭化水素,芳香族化合物、酸、アルコール、セスキテルペン類が検出された。スギ葉燻煙成分の特徴は、GCにおいてスギ葉ヘッドスペース成分よりも低沸点部に出現する化合物、及び高沸点部に出現する化合物が特徴的で、これらがスギ葉燃焼時のやすらぎ感のある香りの原因となっていることが推定される。 2)チャ、ニーム、クスノキの葉の炭化機構について考察した。175℃を超えると熱分解が開始され、アミノ酸の熱分解によるcarbonyl類、pyrazine類、ヘミセルロースの熱分解による酢酸、フラン類、クロロフィルの熱分解によるpyrrole類が検出された。チャ、ニームでは275℃程度まで含硫化合物が検出された。225℃からはphenol類の生成が盛んになるが、リグニンの熱分解温度より低いこの温度帯ではカテキン等ポリフェノール類由来と考えられる。325℃以上ではfuran類はほとんど検出されず、ヘミセルロースの熱分解終了が示唆された。425℃以上では酸類の生成も無くなり、セルロースの分解も終了することが明らかになった。それ以上の温度でリグニン等による芳香族化合物の生成が活発になることがわかった。非木材試料は木材と著しく異なる炭化時の挙動を示すことが解明され、各温度体での燻煙成分が明らかにされた。 3)チャ(Camellia sinensis)葉の熱水抽出残渣の熱分解液体生成物は、葉のそれよりも強い活性を示した。試料をしみこませたろ紙上にシロアリを置く接触条件に比べ、ろ紙とシロアリを離す非接触条件では、殺蟻活性は弱まり、葉由来の試料は100倍希釈時に殺蟻活性をほぼ失った。これらの結果より,葉は非接触条件で殺蟻性を失うことが観察されたため、接触経路で作用する化合物が主として活性に関わり、反対に熱水抽出残渣では非接触条件でも高い殺蟻性を発揮していたため,非接触経路で作用する化合物が主として活性に関わっていると考えられる。 チャ葉470℃炭化生成物、チャ葉メタノール逐次抽出物の470℃炭化生成物は高い殺蟻活性を有し、これらは、殺蟻活性有するフェノール類の含有率が他試料に比べ高いため、強い活性を示したものと考えられる。
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Research Products
(7 results)