2003 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体をマーカーとしたヒラメ稚魚の累積摂餌量推定法の開発
Project/Area Number |
14656078
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
富永 修 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (90264689)
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Keywords | 炭素安定同位体 / 窒素素安定同位体 / ヒラメ稚魚 / 成長 / 摂餌量 / 水温 / 魚体サイズ / 複合餌料 |
Research Abstract |
本年度は成長と摂餌量に影響を与える以下に示す3つの要因(水温・稚魚のサイズ・複合した餌を与えたとき)について検討した。 1.安定同位体比の変化に対する水温およびヒラメ稚魚の体サイズの影響を検討するために,大きさが異なるヒラメ稚魚(全長121mm:L群,全長90mm:M群,全長62mm:S群)を水温(25,20,15,10℃)を変えて飼育し,個体ごとの体重における成長率と筋肉中のδ^<13>Cおよびδ^<15>Nを経時的に測定した。ヒラメ稚魚は水温が低いほど,またサイズが大きいほど安定同位体比の変化速度が遅くなった。しかし,体重における成長率と安定同位体比の間には水温やサイズによって安定同位体比の変化速度に差が認められなかった。したがって,時間の関数として安定同位体比の変化をみる場合は,水温やサイズの影響を考慮する必要があるが,成長率の関数として安定同位体比の変化をみる場合は,水温やサイズの影響を考慮する必要がないことが示された。 2.2種類の飼料を摂餌したときのδ^<13>Cおよびδ^<15>Nの変化を検討するために,飼料A, Bとこれら2種の飼料を重量比で1:1となるように混合した飼料Cを用いた飼育実験を行い,個体ごとの体重における成長率と筋肉中のδ^<13>Cおよびδ^<15>Nを経時的に測定した。飼料Cを与えたヒラメ稚魚の収束値は,飼料Aと飼料Bを与えたときの中間の値を示し,δ^<15>Nの収束値から推定した飼料Aと飼料Bの寄与率は42.4%と57.6%であった。飼料Cのタンパク質は,その43.1%が飼料A,56.9%が飼料B由来のタンパク質となり,δ^<15>Nの収束値から推定した飼料Aと飼料Bの寄与率に良く符号した。このように複数の餌を摂餌したヒラメ稚魚筋肉の安定同位体比は飼料のタンパク質の寄与率を反映することが示唆された。
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