2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物プランクトンの遷移に関与する化学物質の検索・同定
Project/Area Number |
14656079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大島 泰克 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60111267)
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Keywords | 微細藻類 / 他感作用物質 / Heterocapsa circularisquama / Chattonella antiqua / Pyrodinium bahamense |
Research Abstract |
1)赤潮生物の珪藻増殖抑制物質の検索 他種間の作用物質の検索する目的で、香川県赤潮研究所から譲渡された赤潮形成藻8種について、抽出物及び培養濾液の他種に対する影響を調査した。多くの藻類がラフィド藻Chattonella antiquaを溶藻する活性を示したが、特に渦鞭毛藻Heterocapsa cirularisquamaが高い活性を示した。 2)H. circularisquamaの溶藻成分の構造解析 本種を大量培養し、C. antiqua溶藻活性を指標に各種クロマトグラフィーを用いて活性成分を精製して単離した。遅効性、速効性の活性発現速度の異なる2群の物質を生産しており、前者4成分、後者4成分を0.3〜4.0mg単離した。NMR, MSスペクトルデータの解析から、成分1-4は脂肪酸の異なるガラクトシルモノアシルグリセロール、成分5-8は脂肪酸の異なるスルホキノボシルモノアシルグリセロールと決定した。また、得られた成分は構成脂肪酸の8倍以上の溶藻活性を示した。 3)渦鞭毛藻Pyrodunium bahamense var. compresa培養液中のpH上昇原因物質の追求 本種は一般種では増殖阻害がおこるpH9付近で至適増殖を示し、培養中に自ら培地pHを上昇させることが明らかにされている。大量培養を行い、培養液中に放出される有機塩基物質の検索を行い10数種の物質を同定したが、いづれも極微量であり、pHの上昇を説明するものではなかった。他渦鞭毛藻と比べて急速に培地中の硝酸イオンを消費することが明らかになり、これが原因であると推定した。
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