2003 Fiscal Year Annual Research Report
イソプレンの暴露がモノテルペン放出種におよぼす影響-新たなる仮説の妥当性評価-
Project/Area Number |
14656096
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
谷 晃 東海大学, 開発工学部, 講師 (50240958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 真策 東海大学, 開発工学部, 教授 (90236365)
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Keywords | イソプレン / モノテルペン / 暴露 / ガス混合装置 / エニシダ / レモンバーム |
Research Abstract |
イソプレンがモノテルペン放出種におよぼす影響として,以下のメカニズムが候補として考えられる. 1 モノテルペンの代謝を抑制し,葉内のモノテルペン含有量を低下させることで抵抗力を弱める. 2 イソプレンが表皮のガス透過性を高め(Fall,1999),モノテルペンの放出を促進することで,葉内のモノテルペン含有量を低下させ,抵抗力を弱める. 3 光合成や気孔開度を低下させ,モノテルペンの基質の生産量を低下させる. 4 モノテルペン放出種の,他の物理的,化学的特性を変化させる. 本研究の目的は,上記の点についてイソプレンの暴露がモノテルペン放出種におよぼす影響を検討することである. 今年度は,昨年度製作したイソプレンガス混合装置を用いで暴露実験を2度行った.植物には,イソプレン放出種にエニシダ,モノテルペン放出種には,レモンバーム,ローズマリー,クロマツ,ヒノキを用いた.暴露したイソプレン濃度は,5ppmと50ppmとし,イソプレンを含まない対照区の計3処理区を設けた.暴露期間は14日であった. イソプレン放出種のエニシダでは,2度の実験で葉面積が,イソプレン濃度が高まるほど増加する傾向にあり,2度目の実験では5%水準で有意であった.他の成長量に差はなかった. モノテルペン放出種では,レモンバームがイソプレンの高濃度処理区で葉に可視害が認められた.他の植物種には,成育量およびモノテルペン含有量に差はなかった. 今回の実験は,暴露期間が2週間と短く,自然界で起こりうるイソプレンの緩やかな作用を観察するには十分でなかったと思われる.来年度は,長期実験を行いイソプレンの作用を詳細に調べたい.
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