2002 Fiscal Year Annual Research Report
牛プリオン遺伝子の構造領域ならびにプロモーター領域の多様性に関する研究
Project/Area Number |
14656106
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 芳實 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50041661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下桐 猛 鹿児島大学, 農学部, 助手 (40315403)
岡本 新 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70158814)
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Keywords | プリオン遺伝子 / 牛 / 遺伝的変異 |
Research Abstract |
目的:プリオン遺伝子(PRNP)は牛海綿状脳症(BSE)などの伝達性海綿上脳症(TSE)に係わる遺伝子である。ヒトやヒツジではPRNPIの遺伝的多型がTSEに関係することが報告されている。他方、ウシPRNPの多型とBSEとの関連性は報告されていないが、これはウシPRNPの多型があまり明らかにされていないことがその理由の一つと考えられる。それゆえわが国でもBSEにかかりにくいウシを育種するためのプロジェクトが始動した。当研究室では、アジア在来牛のDNAサンプルのストックを持っているので、アジア在来牛のプリオン遺伝子の多様性の解析を行なった。 材料と方法:材料には、ミタン、アジア4カ国(ベトナム、ラオス、ミャンマー、モンゴル)の在来牛及び日本の和牛ならびに口之島野化牛集団を用いた。既知の多型についてはプロモーター領域の12bpの欠失の多型(A or B)、翻訳領域の8アミノ酸残基の反復配列(24bp)の多型を解析した。さらに構造領域のDNAシークエンスを行い、多型解析を行なった。 結果:プロモーター領域の欠失の有無の多型は、正常型(B)の遺伝子頻度は、東南アジア集団で、0.2以下を示し、東アジア集団で0.5以上を示した。また、反復配列では、PRNP^6の頻度が東南アジア集団で0.99、東アジア集団で083〜0.89であった。これらの結果は、PRNPは基地の多型で見ると東アジアの集団のほうが東南アジア集団よりも多様性に富むことを示唆している。ミタンを含む、11個体のアジア在来牛のDNAシークエンスを行なった結果、新たに、ミタンで4箇所、アジア在来牛で2箇所のアミノ酸置換を得た。これらの結果を、PrP型として纏めると本研究で初めて得られた3種類を含め、5種類得ることができた。ミタンおよびアジア在来牛でともに得られた2箇所のアミノ酸置換は、制限酵素Tsp451を用いたPCR-RFLP法で検出することができた。
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