2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロバイオセンサを利用した家畜卵外被の硬さ測定システムの開発と応用
Project/Area Number |
14656107
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 光敏 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00174954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾股 定夫 日本大学, 工学部, 教授 (90060186)
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Keywords | 透明帯 / 硬度 / ウシ卵 / 成熟 / 受精 / 発生 / マイクロバイオセンサ |
Research Abstract |
家畜卵透明帯に関する知見は、形態学的および生化学的分野に限られており、硬さを指標にした力学的特性については未解明な点が多い。本研究では、硬度測定用触覚センサを応用したマイクロバイオセンサによる家畜卵透明帯の硬さ測定を実行する新システムを開発し、成熟・受精・発生に伴うウシ卵透明帯の硬度変化を調べた。測定対象:食肉センター由来のウシ卵巣より卵子を吸引採取し、(1)採取直後の未成熟卵、(2)成熟培養20〜24時間後の体外成熟卵、(3)体外受精18時間または24時間後の雌雄前核形成卵、(4)体外受精24時間後の2細胞期卵、(5)体外受精3日後の8〜16細胞期卵、(6)体外受精5日後の桑実期胚、および(7)体外受精7〜9日後の拡張期胚盤胞について、それぞれの透明帯硬度を測定した。測定方法:各区の卵は外形に変形をきたさないように吸引保定し、ピエゾ素子の先端に微細ガラス針を接続したマイクロバイオセンサを対象に接触させ、この地点を始点とし、卵をセンサ方向へ進入させた。その接触状況による周波数変化量はパソコン計測プログラムを介してリアルタイムでディスプレイに表示し、測定データを記録した。次いで、周波数変化量は卵測定と同様の条件下で行った既知ゼラチン濃度測定結果より求めた検量線よりゼラチン濃度に換算し、透明帯の硬度とした。一方、測定時に卵の画像を記録し、対物ミクロメーターを用いて透明帯の厚さを調べた。その結果、ウシ卵は成熟に伴い軟化し、受精において硬化、さらに、発生に伴い軟化することが力学的視点から初めて明らかとなった。また、成熟に伴う透明帯軟化と受精に伴う透明帯硬化は透明帯の厚さに依存しないことおよび拡張期胚盤胞における透明帯軟化は透明帯の厚さに関連していることが示された。
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